ハーレー用レクトロンキャブ 販売開始していた!
ハーレーのO/Hとかやってたりカム交換なんかを考える時に必ず出てくるこのバックラッシュなる言葉。
純正マニュアルにもばっちり載っているし、バックラッシュ調整用ツールや合わせるために豊富なギヤまで純正で準備されていた。
ただし、これは70年以降の話であり、それ以前の所謂ピーナッツカバー用には社外も合わせて全く準備がない。
今までは手がでないので、そのまま組んでしまうかあまりにも合わないようであれば大量に転がっている中古から都合の良いものを引っ張りだして付けていた。
ところがこの70年以前のピーナッツカバー内のバックラッシュに果敢に挑もうという人が現れた。当ブログにアレ書けコレ書けと度々要求を突き付けてくるトッポジョージ、その人である。
何をやるのかってのはとりあえずおいておいて、そもそもバックラッシュってなんぞや?いい数値取るとどんなことが?ってのをおさらいの意味も含めて書いてみる。
どうしよう…オリンピックのマークにしか見えない…
…見た事がある人はわかるかと思います…が、えー、70年以前のビッグツインのカムカバーを開けるとこんな感じでギアが入っています。
カバーを外して見えるギヤが6個、その裏にオイルポンプを回すためのギヤが2個とデスビを回すギヤが2個と合計で何と10個ものギヤが回っている。まさにギヤカバーって感じです。
これが70年UPになると一気に減って全部で5個となる。これだけ減ればギヤカバーがコンパクトにもなるわけだ。
せっかくなんで各ギヤの仕事を左からざっくりと説明してみる。
ピニオンギヤ→カムギヤ→ブリーザーギヤの順で回転をもらう。
ブリーザーギヤはギヤと一体になったブリーザーバルブをくるくる回すもので、ブリーザーバルブは特に固定されているわけでもなく、ただケースの中を回っているだけだ。
回って何してるかって言うと、これが結構仕事量が多くて、リターンのオイル吸ったり、クランクケースの中のオイルをカムカバー内に吐き出したり、ブロバイ管理したり、ナックルに至ってはヘッドに行ったオイルを吸い出す仕事もしたりする。
これらはブリーザーバルブとケースに空いている穴の位置でやっているため、基本的に何かを回したりするわけでもなくあまり負荷もかかっていない。そのためEVOあたりではプラスチックでできた物を使っていた。
これだけじゃあまりにも適当過ぎるってことで別の記事にまとめてみました。
ピニオンギヤ→カムギヤの順で回転をもらう。
細かい説明は不要かと思う。このギヤについているカムシャフトがくるくる回ってプッシュロットを介してバルブ開け閉めするよ。
すべての回転の元。
フライホイール直結で回る。ギヤカバー内のすべてのギヤの動力となっている。このギヤの奥にはオイルポンプを回すためのギヤが付いてるよ。
ピニオンギヤ→カムギヤ→サーキットギヤ→の順で回る。
これが正式名称なのかどうか、正直自信がない…
このギヤの裏側にも更にギヤがあって、そのギヤがデスビを回転させる。
ピニオンギヤ→カムギヤ→サーキットギヤ→アイドラーギヤの順で回転をもらう。
基本的に何にもまわさず、ただ次のギヤへ動力を渡すためだけにある。ある意味無駄なギヤ。こいつの代わりにチェーンとかでも代用可能。
で、最後の最後。ピニオンギヤ→カムギヤ→サーキットギヤ→アイドラーギヤ→ジェネレーターギヤの順で回転をもらう。
このギヤは発電機のジェネレーターに直結されており、アーマッチャーを直接ぶんぶん回す。
もう相当なギヤを介しているんで実際の減速比まではわからないが、明らかにピニオンギヤより小さいのでエンジン回転数より多く回っていると思われる。
こいつだけは年式と車種によってギヤの歯数が13だったり14だったりするんで注意。ただし間違ってもちゃんとついたりもする。
とこんな感じで沢山のギヤはそれぞれの仕事をしているよ。次は本題のバックラッシュ!
こんな感じで沢山のギヤが回っているカムカバー内。エンジンの回転数とほぼ同じものからもっと回っている物、1/4に減速されている物と様々だが一つ言えることは 沢山のギヤの山が常にかみ合い分回っていることだ。
回転するギヤはそれぞれ常に同一方向に回り、次々に来る山と谷がかみ合いギヤを回してく。このギヤがかみ合う時に金属同士が接触し、動力を伝えていく仕組み。
この噛みあう瞬間は金属同士が叩くように接触するためどうしても音が出る。
これが所謂ギヤの唸り音へとなっていく。
ではこの音が出ないようにするためになにをするか?これがバックラッシュ調整と言われる作業で、簡単に言うとギヤの歯と歯が噛み合う時にきつすぎず、且つ、緩すぎないようにギヤその物を交換していく作業になる。
この作業で扱う数値は実に細かく1/100ミリどころか1/1000ミリ台の数値を扱う。特殊なゲージを使いギヤの何点かを測りその合計の和を測定回数で割る。その作業の上でバックラッシュの数値を導き出していく。
数値を出したらその数値がどの範囲に入っているかを確認し、それに合ったギヤを選ぶ。たったこれだけだが、これがやってみると結構難しい上に温度なんかの影響もあり、選ぶのでそれなりに熟練が必要だ。
そこまでやっといてバックラッシュ取るメリットって何だんだよ!って思うだろう。管理人も思う。でもね、主なメリットは静音に他ならないんだよね…
緩い場合は機械的にはそれほど問題はない。ただし音がでかくなる。1個2個のギヤ出あればそれほど気にならないかも知れないけど、6個もギヤが並んでいてみんなバックラッシュがちぐはぐだと無視できないほどの音にとなる。
でも走りに問題が出ることはない。
きついとどうなるか。ギヤの噛み合い音はぎゅるぎゅるって感じの音になり、下手するとお互いのギヤを押しあうような感じになる。
ただし、数値自体は非常に小さいので大至急メカニカルダメージが生じるような事はない。その代りマウントしてある部分やギヤその物にじわりじわりとダメージを与える。
きついほうがどちらかと言うと有害なので、マニュアルなんかにはバックラッシュの数値が微妙な場合や、大きく外れている場合などではワンランク下の緩い方を選ぶようにと書いてある。
こんな感じでバックラッシュ調整とはものすごい小さい数値を扱いギヤの噛み合いを調整する作業だが、実りは他の作業と比較すると小さい地味な作業となる。
じゃ、なんでやるかって言うと静かなエンジンのほうがいいだろ!あと寿命が長いほうがいい!
そんだけなんだよね…
今回はここまで。次回は自称異音病にかかったあるバイク屋がこの1970年以前のバイクのバックラッシュと如何に戦うかの記録となる…
で、次も書きました
プロアンサーではバイク屋から車屋まで質問に回答してくれるプロの方を募集中です!
お問い合わせからご連絡頂ければ返信しますんで、よければ登録してくださーい。