ハーレー の VOES とかいうやつ
前回の車種編から随分時間が立ってしまったが、今回は満を持して(?)のエンジン編を例によって記憶のみで書いていこうと思う。
以前にも書いたが、ショベルやパンなんかに比べるとあんまり触ったことがなく、記憶も結構曖昧だったりするので、いつも以上に間違いや抜けが多いのはご容赦いただきたい。
おい!ここ間違ってんぞ!
と、読んでて思った人がいたら容赦なくお問い合わせより突っ込んで頂ければ幸いである。
てことで、書いていってみよう。
今までのエンジン達(ナックルだのパンとかショベルね)達から大きく進化したエボエンジン。
まずはそれらのエンジン達とどこが圧倒的に変わったのかその変化を詳らかにしてみよう。
ショベル以前は頑なにシリンダーが鉄製、ヘッドはアルミ(ナックルに至ってはヘッドすら鉄)だったが、エボからはシリンダーまでアルミ製となった。このためシリンダー内部に鉄製のスリーブを入れるほんとに一般的な構造のエンジンとなる。
また、クランクケースから4本のものすげー長いスタッドボルトを出し、そのスタッドボルトにシリンダーとヘッドを差し、共通のボルトで締めるこれまた一般的なバイクと同じ構造を選択。
これにより、シリンダーとヘッドのトルク違いを排し、圧倒的な管理のしやすさと耐久力を手に入れている。
これも今までのエンジンと大きく違うところ。
今までは完全な半円形の燃焼室にこれまた盛り上がったピストンって旧態然とした形状の燃焼室だったが、この構造もばっさり捨てる。
んで、これまた現代的…かどうかはともかく異型のヘッド燃焼室へと変更。この形は非常に特徴的で言うなれば半月みたいな形となった。
なんでこんな形なんだ!といっつも思うが、排気量とか給排気効率なんかを考えると当時としてはこれがベストって判断だったらしい。
それと合わせてピストンも盛り上がったタイプではなく完全なフラットトップ(マジで真っ平ら。バルブが当たらないようにちょっと切り欠きがついているのみ)となり、燃焼効率自体は完全にヘッドにおまかせって感じになった。
んで、ピストンもここに来てやっと前後を持ち(ショベル以前は向きがあるようなないような感じ)、また全長をこれまでとは比較にならないほど短い物として、低フリクション化を図る当時としてはストロークを考えるとそれなりに尖った形を採用していた。
全部アルミエンジンもそうだけど、エボの最大の変更としてヘッドへ行くオイルラインの変更ってのがある。
パンやショベルの場合、ヘッド内部を通るか外部のオイルラインを使ってロッカーアーム周りの潤滑を行っていたが、エボはここを大きく変更。
なんとプッシュロットの内部を通ってオイルが上がる仕組みとなる。
これにより圧がかかるオイルをシリンダー→ヘッドと通す必要がなくなったためオイル漏れが激減した上、通路が各ロッカーアームに各一本となり潤滑の効率化を図る。
また、外部に一切のオイルラインが無いこれまた現代的なエンジン形状をつくる助けとなる。
で、このプッシュロットもまた大きな特徴がある。
ショベル以前では油圧ユニットが採用(油圧ユニットとはパンヘッドのこのブログが参考にあるかも)されていたとしても調整が必要とされてきたが、エボ以降ではこれすらもバッサリと捨て、プッシュロット自体を全く調整できない長さの決まったただの棒に変更した。
これについてはなぜかサービスマニュアルに御高説が書いてある。曰く、
長年の研究と開発により、ハーレーは煩わしいこのプッシュロット調整から開放された。
(うろ覚えだが、たしかにこんな感じの自慢が書いてあった。)と、サービスマニュアルの内容に全くそぐわない自慢じみた事がかいてあった。
確かにプッシュロット調整は不要になったかもしれないが、これによってでかい弊害(後述)が起きることになるのがいかにもハーレーらしいといったところか。
ちなみにこのプッシュロット、どこにどうはめるか厳密に決まっており、それぞれに色が塗ってある。
でもこの色がまた長年の使用により取れているときがあるので、そんなときは長さを比較する事によって元の位置がわかる。
短い方から書いていくと、
となっている。でもくれぐれも参考程度に考えて、バラしたらどのプッシュロットがどこに入っていたかしっかり覚えておこう。
これは最初からじゃないんだけど、大きな変化なのでここに書いておく。ちなみにブリーザーバルブについては以前のブログに書いてあるので、興味のある方は読んでみてほしい。
このブリーザーバルブ、古くはナックル登場の1936年からビックツインに採用され続け、脈々と使われ続けたが、エボの代の1992年か3年についに廃止となる。
基本トラブルも多く、面倒な部分だっただけにこの変更は大いに歓迎(むしろプッシュロットの変更以上に)された
と、まぁざっくりであるが今までのエンジンとはこれだけの違いをエボは持っている。
この大きな変更によりエボエンジンは今までと比較にならないほどの静粛性と耐久性を手に入れた。
当時のエボ乗りはその静かさをHONDAより静かだぜ!と誇ったらしい。
また、耐久性も格段に上がり、上手にのればそれこそ10万キロ以上もエンジンを開けず走り続けるという今までとは比較にならないほどの堅牢さを持ち得た。
と、いいことばかり書いてきたので、次は個人的なエボの欠点を書いていってみようと思う。
今までのエンジンから比べると格段に各部の性能が上がったエボ。
でも当然?の事ながらハーレーらしい爪の甘さからくる欠点もある。そのへんを書いていってみよう!
エボの外観を特徴付けるエンジンの一番上、四角いロッカーカバーだが、ここの構造は明らかにおかしい。
あんなにでかいのにほっそいネジ4本でしか止まっていない。しかも端っこじゃなくて真ん中付近である。
しかも構成部品が3つに分かれている上、真ん中の部品に至ってはただのリングである。しかもそんなに強度がない。
さらにさらにそれらの間にはゴム、初期の頃に至ってはコルクを何枚か挟むような構造になっており、オイル漏れのブログにも書いたがちょいとでもオーバーヒートさせると歪みまくるんである。てことはオイル漏れジャージャーとなる。
これ、ホント面倒で歪んでも修正が効くレベルじゃなく本当にもうどうにもならんぐらい歪みまくる事がある。
こうなると交換するしか無いんだけど…とにかくお値段が高い!
なんでこんな構造にしたのか、そしてなぜ途中で改良しなかったのか理解に苦しむが、ともかくここは要注意だ。
ちなみにこれに反省したのか、ツインカム以降はなんかとっても素敵な構造となりこのトラブルから開放されている。
先に書いたが、プッシュロットが調整不可=伸び縮する場所がないってことで、プッシュロットカバーをとってもロットがはずれない構造となってしまった。
調整する必要も無いんだし、別に取れなくてもいいんじゃねーの?
と、思うかもしれないが、ハーレーの場合そうは行かない。そう、オイル漏れである。
このふざけた構造によりエボは一度プッシュロットカバーからオイル漏れを起こすと、上記のロッカーカーバーを外さないとプッシュロットカバーのオイル漏れすら修理できない鬼のような構造となった。
そらいいですよ…プッシュロットを調整する必要がないってのは。でもさ!肝心のカバーの構造をしっかり改良しなければオイルだだもれでしょーが!
どうせならここもショベル以前と同じ構造じゃなくてなんかこうもっと漏れづらい構造にしとけっての!
と、思いつくまま書いてみたが欠点と思われるのはわずか2点(あとからまた思い出すかもしれないが。)しか無い。
なんだかんだとかいたがそれだけ優秀なエンジンなのは間違い無いだろう。
長くなったのでとりあえずここまで。次回はエンジン內部の各年式での違いを掘り下げてみたいと思っている。
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