ピストンとシリンダーのお話

またまた全開のパンヘッドを無視して違う事を書いてみる。
別にパンヘッドを書くのが面倒ってわけではなく、ちょっと聞かれたからである。

オーバーホール時にやるピストンとシリンダーボーリング

管理人がエンジンをオーバーホールする際に必ずつきものになってくるのが、このシリンダーボーリング。

ボーリング!?そんなもん滅多にするもんじゃねーよ!ピストンリング交換ですませや!

などと言われる度に何度も何度も同じ事を説明してきた。そしてまた久しぶりになんでピストンリングの交換じゃなきゃだめなのかと言う事を聞かれた。

確かにピストンとシリンダーのクリアランスが適正値の場合、ちょっとバラしついでにピストンリングの交換を________なんてだれでも思う話だろう。
だが、ハーレーの場合ピストンとシリンダーのクリアランスが適正値でもあえてオーバーサイズのピストンを入れないと行けないケースが存在する。いや、ハーレーに限らずだろう。

このへんが割と理解してもらえないんで、今回は管理人がお届けするいつもの渾身の絵と共にその理由を説明してみよう。

決して均等に減ってくれないシリンダー

  • 多分減っているってイメージされるであろう図。こんなだったらピストンリングの交換だけていい。

  • で、こっちが現実。大体であるがこんな感じでとんでもなくいびつに減っている。

まずは左(スマホの場合は上の図ってなるのか…)の管理人渾身の図を見ていただきたい。
上が理想的な減り方をしているシリンダーとピストンである。

こんな感じで上から下まで均等に減り、クリアランスは左右どこをとっても満遍なく均等であり、均等じゃなかったとしてもその差は微々たるものだったりする。

これが通常イメージされる所謂ピストンとシリンダーのクリアランスの関係になると思う。

ただ、こんなにきれいに減るのはほんとまれで、ハーレーではEVO以降でも…って感じでたまにきれいに減っててびっくりするのはアイアンスポーツだったりする。この辺はちゃんとした理由があるんだろうけど、ここでは掘り下げない。

んで続いて現実的な減り方。
実際のところはこんな風になん実にいびつな減り方をする

この減り方もショベルならここ!パンならこのへん!みたいな感じで割と決まっているのが面白かったりするが、ともかく縦で見た場合は非常にいびつなひょうたん?のような減り方をする。

こんな感じでシリンダーは様々な理由により変な減り方をしてその真円度を失ってしまうのが特徴だ。

んじゃ次にこんないびつな形になってしまったシリンダーとピストンを上から見た場合どうなっているかを見てみよう。

こうなってる・・・

ちょっと極端だけど、赤がピストンリング、青がシリンダーの壁と思っていただきたい。また重なっている部分があるがそこは重なってないと思って見てください!お願い!

とまぁ、こんな感じだ!

ピストンリングはご存知のようにピストンの溝にハマって新品の場合結構な強さで突っ張っている。わかりやすいイメージだと丸いバネみたい(わかりやすいか?)なもんで、どんなに使い倒していてもこの張力みたいなのは残っている。

こんなんで、ピストンリングはほぼ狂いなく真円にしかならないって特性がある。

だがしかし、上のナイスな絵のようにシリンダーが歪であればいくらピストンリングが頑張って真円でパンパンに張っていていもどうしても隙間ができてしまう。
この隙間がまた厄介で、きっちりクリアランス測ってしっかり組んだつもりでもなぜかオイルが上がってみたりとろくなことが無い。

てことで、管理人がほとんどの場合シリンダーをボーリングしてしまうのは
ハーレーの場合、シリンダがー結構めちゃくちゃに減ってて全く真円じゃなくっている事が多くて、この真円を取り戻すためにボーリングをするってことなんであった。

おまけ。内燃機屋さんのお仕事

ショップでなんてほとんどオーバーホールなんてしていない。作業は内燃機屋がやってるんだだの、オーバーホールなんてどこに出しても一緒。どうせ内燃機屋がやるんだし。などという都市伝説にもならないような話ってか書き込みをたまに目にする。

これは明確な間違いで勘違いであると名言しておこう。

まず我々バイク屋は見て聞いて乗ってなどを繰り返し、一体どこが悪いか検討をつけて修理を開始する。その際にエンジンを開けることもあるだろう。
開けたら開けたで洗って測って図って量って謀る仕事(この辺を参照)をする。更に膨大?な経験から加工作業と適した部品や材質を選択する。

まずは第一弾としてここまでがバイク屋の仕事。次に内燃機屋にバトンタッチをする。

内燃機屋さんは我々のような所から送られてくるありとあらゆる内燃機をその指示に従って加工を行う。
当然普通のバイク屋には無いような機械を備えありとあらゆる加工を行ってくれる。ただしこの加工内容はあくまでもオーダーしたバイク屋さんなどの基本指示に従う
もちろんこっち指示は絶対じゃ無い。間違いがあったり、内燃機やさんの経験上更にいい方法や数値、材料があった場合には教えてくれたりもする。こんな感じで割と相談しながら加工を進めることもある。

で、加工が終わったら再びバイク屋さんにバトンタッチ。
帰ってきた部品を観察、測定、そして大事なのがまたまた洗浄を行う。特に鉄物はボーリング作業時に磁性化した鉄粉なんかが張り付いてリするからよくあらう。

そして規定の値であったり経験上採用している方法や数値なんかをきっちり適応して組み上げ動かすようにする。

こんな感じでバイク屋と内燃機屋は密接な関係ではあるが、全く別の分野での仕事をしており、共通する事項は少ないと知っておこう。

つーことでここまで!

「はーなるほど。真円を出すためにボーリングするのか。なら俺もそろそろ掘るかな。」と、つぶやきながらコ●●ンはそっと小指を鼻の穴に突っ込むのであった…


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