バンスのFP3の機能を探ろう

今回はインジェクションをいじってみたシリーズ第…何段かは忘れたがVans&HInesのフューエルパックFP3(以降FP3と略す)を取り付けセッティングし、その結果見えてきたFP3ってどーなの?を真剣に書いて見よう。

今まで書いたブログで関係ありそうなのは…沢山あるので、ここの検索結果から興味がありそうなのを読んでみてくでください。
ざっくりとですがハーレーのインジェクションの仕組みとが分かると思う。

巷で話題のFP3であるが、こいつは賛否両論いろんな意見がある。
オートチューンがいい!
とか、
すごく早くなった!
等の肯定的意見から、
遅くなった!全く変わらない!
などの否定的意見まで様々だ。youtubeとか見るとめっちゃ解説動画とかあるしね。

じゃあ管理人的にはどうだったか?

個人的にFP3をお勧めすることは無い。年式によってはまず使いたくない。

こうなる。
一応書いておくが、FP3の機能自体は全く悪くなく、フルコンに比べても見劣りするようなものではない。純正書換機器として必要にして十分な高機能を持ち、ちゃんと使えれば条件によるが、フルコンやギッチギチにECMを書き換える部品達に見劣りするような事は無い。

でも使わない。それはセッティングするのがものすげー面倒だからっていうのに他ならない。
ってことで、FP3上で行うオートチューンの事も含めて細かく書いていこうと思う。

FP3をつけてみたい!と思った人がまず最初にやること。

FP3をつけるにあたってバイク屋に頼まず、自分でやろうと思っている人!ちょっとまて!一つ声を大にして言いたいことがある。

それは恐らくつける人の大半が大きな目的にするであろう所謂三拍子風のアイドリングが、車両の年式によってはFP3の調整項目が少ないために非常に困難であるということだ。

FP3には機種が2種類あって一つは初期型用の4ピンコネクタタイプ。

で、もう一つが後期型用の6ピンコネクター用のものだ。

問題はこの4ピンタイプの方で、低アイドリングでの最重要セッティング項目であるアクセル全閉時の点火時期調整ができないんである。しかも1000rpm以下の回転の設定項目すら無い。つまり低アドリング時はせいぜい燃調ぐらいしかいじれない仕様となっている。

え?ならFP3つけてもあんまり三拍子風にならん可能性があるのか!なら俺のバイクはどっちなんだ!

と思う方もいるだろう。
実際自分のバイクがどっちかわからん!って場合はシコシコ調べる方法もあるが、まずはスマホのOSによる(AndroidならGoogleなんちゃらだしIosならアップルなんちゃら) がそれぞれのストアにいってHP3調整アプリをダウンロードしてこよう。ストアにいって「FP3」で検索すりゃ速攻で出てくるのでリンクは貼らん。

で、アプリ落としてきたら早速起動、デモモードってのがあるのでそこで自分の車種・年式にあったマップを選ぶ。
選び終わったら「Map Optomization」をクリックしてみよう。

で、選んだら画面一番上にある「Advamced」を選択、そしたら画面下にある「点火」の項目を選ぼう。
そうするとどっちかの画面が出るはずである。

ひと目みれば内容の違いが分かると思うが、ほとんどなにもないのが初期型で、いっぱい項目があるのが後期タイプである。
各項目の説明やなんかは省くが、前期型は点火の部分一つ見てもこれぐらいの機能制限がある。
しかも大多数の人が重要視するアイドリング近辺の回転数近辺ってかアイドリング時そのまんまの回転域での設定項目がない。で、ここまで機能制限があるのにお値段据え置きである。

ってことで、まずはここを確認してみることを強くお勧めしておく。

で実は、
ああ~ん?FP3でアイドリング下げる?余裕しょ!セッティング?バンスがマップ用意すんだから結構楽に決まるだろ!年式による違い?そんなもん取り付け部分程度だろ!HAHAHA!!!!!!!!
と完全に舐め腐った態度でのぞみ、この違いにガッツリ凹まされた管理人からの切なるお願いだ。

では次からなんでお勧めしないのかを更に書いていってみよう。

人を選ぶぜ!FP3!

ってことでいよいよFP3を車体い取り付けマップを流し込むところまで(細かいやり方は検索すると管理人なんかより上手に説明されているサイトが沢山あるので、そっちを参照してください。)来て終わったらマップの内容を確認して見よう。

これはフロントシリンダーの点火時期と空燃比のマップになる。これ、見る人が見ると

んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん????

となるはずである。
管理人もこれ見た時に???だったが、仮にもバンスが作ったマップなら乗ればいい感じなんだろ!と思い、とりあえず乗ってみたが、結果は…である。
低速ではもたつき、パワー感はなくなにか忙しい感じ。アクセル開けても力はなくノロノロと加速し、なにか熱い。やっぱりノーマルと変わらないか、下手すりゃ悪いまである状態だ。

つまりこのマップは何が狙いが(なんとなく狙いは分かるが後述)わからんが、少なくとも排ガス規制で殺されているパワーを盛り返すためのものじゃないのは確かなんで、これを修正していかなくてはならない。
この膨大な数の数値を、PCと違い、割と一点一点を、バカ見てーにスマホで!ポチポチと!!!!修正していくっっ!!ことになる。んでだ、またまた謎なんだがFP3はなぜかフロントとリアシリンダーの点火マップが前後で完全に独立してやがる…って事で点火のタイミングマップだけで単純に倍の2枚になりやがるんですよ!

なんで前後分けてんだ!そんなに細かく違うくする必要ねーだろが!

と怒っても仕方ない。腹決めてこいつをポチポチ開始する。
しかもしかも!FP3はマップを作り込んで、それを流し込むって事が少なくともエンドユーザー向けのスマホ機能じゃできない。プロチューナー向ではできるのかもしれんが、そんな事はどうでもいい。
大多数の人はバイクの電源を入れっぱなしでこのアホみたいな作業をやらなくてはならない。

このざっくりとした初期のマップの数値指定、サンダーマックスとかのPCでやるやつなら元のマップの出来もあるけど、だいたい15分もあればこのまずは数値で行くかーってのができる。

が、圧倒的に画面も小さく入力インターフェイスも画面タッチのみという状態のスマホでこの作業はほんとにきつい。
何度も何度も同じような作業をしていると何所をどういじったか忘れてくるし、いつまでたっても満足する感じいじれないしで、これは本当にきつかった。

で、PCで15分でかかる作業をスマホで2時間近くかけて初期マップがなんとなく完成。
でもこれにしたって肝心のVE値はまともなO2センサーがついてない(後述)から、いじれないからあっているかどうかもわからん。ともかく走って調子を見てまたスマホをポチポチする…を繰り返してやっとそこそこ走るようになってくる。

んで、さらに別に悪いことでもないんだけど、グラフをよく見ると分かるんだけどこのグラフ、縦軸はRpmだからいいとして横軸がkPa、キロパスカルで気圧である。恐らくインマニの中のMAPセンサーからのフィードバックなんだろうが、これだとこの回転数でこのアクセル開度の時にこれこれ・・・ってわかりやすい指標で数値の書換ができないので、これまた一気にめんどくさくなる。
だってさー、kPaってアレなんですよ、違うアクセル開度でも同じ値になる事があるんですよ。つまりセッティングする点が2点以上かぶる事ある。 これを考えながらやらないとなんかいまいちピンと来ないんですよ。要するにすっげー面倒くさいことになる。

その点、スロットルポジションはその回転でその1点のみだし、何よりライダーが乗っている時にどれぐらいのアクセル開度でどんなふうに乗るかってのが想像しやすいので高燃費ハイパワーとかのセットもしやすかったりする。

ともかくこの点もFP3をいじる上では意識しなくてはならないし、FP3が面倒な一つでもあるって事を意識しよう。


なんとなくこの辺までは理解できただろうか?
じゃあ次はみんな大好きなオートチューンのへと話を移そう。

みんな大好きオートチューン

このオートチューン、言葉の響きからしていかにも自動的にセッティングを出す!的な感じだが実は全くそんなことはない。
オートチューンについては過去のブログにてその仕組をガッツリ書いてあるので、今回はあえて説明しないが、早い話がチューナーが狙っている空燃比にするために吸い込む空気量の予測値の精度を上げるための作業であり、決して自動的にベストな空燃比が決まる作業ではない。

そのためにオートチューンはO2センサーから読み取ったO2の値を参考にし現在の空燃比を算出する。
で、全ての数値を元にして

ははぁ。この回転でこのタイミングだと燃料が濃い(若しくは薄い)から空気があんまり入ってこないのかぁ。ならここでは燃料の量を抑えよ!

となり、狙った空燃比に近づけるのである。

てか、そもそも空燃比って何なのよ?
って人もいるだろう。

空燃比とは空気とガソリンの割合を示す値で、14:1みたいな書き方をする。これはガソリン1に対して空気14って比率である。更にこの値には理論空燃比とかパワー空燃比って呼ばれる指標がある。一番ガソリンの燃えカスが残らない理論空燃比は14.7:1だし、パワーが出やすい走りやすいと思われる空燃比はハーレーの場合12.8から13.8ぐらいの間だろう。

ここで改めてさっきのマップの空燃比部分を見てみよう。

改めてみると分かるだろうが、常用回転域と思われる部分がオレンジ色でその値はほぼ14.46、つまり排ガスキレイキレイの理論空燃比に近いということに気づかれただろうか?
値としてはほぼノーマルECMと変わりなく、これだけ見ても薄いなってのが確信できる。

なんでこんなに燃料が薄い部分が多いんだよ!

と思う方も沢山いるだろう。かく言う管理人もこれを見た時、乗った時にそう思った一人である。
理由については完全に推測になるが、恐らくバンスアンドハインズが、

オートチューンを動かせる値にしておいて、FP3の商品価値を高めるため

と、勝手に推測している。だって巡航時の低アクセル開度部分ならまだしもかなり薄いエリアが多い。多分街乗りならほぼ14.4とかで走る感じになるだろう。

なんでこんなに薄い状態かって言うとFP3で使っている純正のO2センサーは極めて低性能であり、一般にはナローバンドO2センサー(Narrowband O2 sensor)と呼ばれ、その読み込める範囲は確か14.2から14.7程度と言われている。
この値から外れると純正のO2センサーは読み込むことができず沈黙を決める。つまり働かなくなる。
ちなみにサンダーマックスなどのフルコンや、他の書換用の機器で使うO2センサーはワイドバンドセンサーとされ、だいたい11から18程度までとエンジンがかかっている時の空燃比はすべて読み取る事が可能となっている。

で、パワーがありしっかり走るには14台では薄すぎる事が多く、現に今回シコシコやった結果では14台は巡航時のごく小さいアクセル開度時にちょろちょろ残しあとは14を下回る結果となった。
でもこれが最初から入っているマップだと、
やべ!これじゃオートチューンできないじゃん!商品価値下がるじゃん!
ってなったんじゃなかろうか?

若しくはナローバンドを使ってオートチューンを行い、VE値を書き換えたあとガッツリ燃調いじってね!ってことなのか。

2021.8.10追記

色々書いた後更に試した結果、FP3のオートチューンは入っているマップをガン無視して純正ナローバンドO2センサーが読み込める値まで空燃比を絞り測定するんじゃなかろうか?
そうだとするとオートチューンを始めるとなんか薄くなり、くしゃみしたり色々症状がでるのはこのためだといえる。
管理人の作ったマップでも補正値が入っていたのはインチキじゃなくてこんな仕組みでオートチューンをしているっぽい。
ってことで、管理人が推定した売るためってのは間違いなのでここで補足しておく。すいませんでした。
ってことで正解は、

ナローバンドを使ってオートチューンを行い、VE値を書き換えたあとガッツリ燃調いじってね!

ってことでいいと思う

追記終わり

ともかくこれが真実かどうか定かではないが、なんかそんな意図を感じてしまうほどこのマップは出来がわるいのであった。

最後に

なんかだらだらと書いたが、管理人がFP3を進めない理由はなんとなくわかっていただけただろうか?
要約すると…

  • 初期タイプ、多分4ピンタイプのやつはガッツリ機能制限
  • マップの出来があまりにもアレなんでがっつり調整が必須
  • その設定をひたすらスマホでやるという半ば拷問のようなPC使えない仕様
  • で、そこまでやると機能しないオートチューン

と、だいたいこんなところだろう。
大体スマホ持ってれば誰でもセッティングできる的な売り方しているところあるけどさ、これがそのレベルならサンダーマックスなんてPCがあれば犬でもできるレベルである。
それぐらいこのFP3をきっちり走るようにセッティングするのは面倒くさい。

てことで、1から自分でセッティングするには超勉強がいるし、そこまでやってもO2センサーの性能から完全に満足する結果は得られない。
ならいじらず適当につけて乗るっても朴訥なあのマップではノーマルと変わらないか、下手すれば悪いまである。
であれば、一体どんな人が買うべきか?
個人的にはこんな人、若しくはこんなものを買うべきだと思う。

  • 近所に適価できっちりセッティングを出してくれるお店がある
  • いいとこセッティングが出ているマップ入のを買うか、マップそのものを買う
  • 絶対くじけず、FP3と戦える
  • バイクが後期型に該当し、なんでもいいからアイドリング下げたい人

こんな感じだろう。ここに全く該当しない人はFP3買っても幸せになれないと思うので、まじで素直にサンダーマックスとかのフルコンにしたほうがいいと思う。

んじゃもしFP3がPCで触れたらどうする?ってなると…多分対費用効果から見て後期の6ピンタイプならお勧めできると思う。
それぐらい色々できるしね。でもスマホであの数の数字をいじるのは面倒だから今はお勧めしない!

ちょっと長くなったけどこれで終わり!


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