ハーレーにターボを組んだ話①
そして④はこれ。
インジェクションの話もこれで最後。分割しすぎてすいません。
そして更に使い方的なのを書きました。
サンダーマックスの使い方--1--となっています。
あんまりマニアックな内容になっていないのが悔しい…
そもそも一般的に言われている排気量はただ単にシリンダーの容積。んじゃなぜ理論排気量的な数値が必要になってくるのかって言うと、エンジンは常に 排気量と同じ空気を吸い込んでいるわけじゃないから。
キャブ車では聞いたこともないような話だったし、なんでインジェクションになるとこんなのが出てくるんだ?
キャブの場合は吸い込む量に見合った燃料を自然に吸い込むようにできている。つーかそういう風に苦労して作り上げていったもの。
電気的な力無しでほんとにようやるわ…って思える素晴らしい機械だからこの理論排気量って考えは特に必要なかった。
でもインジェクションの場合はエンジンが動くことによって吸い込む空気に電気的な力のみでガソリンを噴射して混合気を作る。
吸い込んだ空気に自動的に燃料を混ぜられるキャブと違い、インジェクションの場合は吸い込む空気量(酸素)とガソリンの量が物理的に完全に分離
しているんだよね。
このために正確な燃調を出すためには正確な空気の流入用=理論排気量を知らなきゃいけなくなった。
正確に測るには②のMAPセンサーのところでも書いたけど、それ相応のでかくて高い機材をつけなくては
ならないので、現実的ではない。ならどするかっていうとMAPセンサーを付けてある程度の圧力を感知しておおまかな量を測りそれと予測値を突き合わせてこれだって数値を決めている。
要するインジェクションコントローラーは大事な空燃比を決めるのに大体これぐらいって数字を使ってるんですわ。
ちなみにこの理論排気量、アイドリングでは実際の3割減だったり、いい回転数だと1割増しぐらいになってたりとなかなか面白い。
サンダーマックスを実例にして実際のセッティング作業を説明してみる。なんでサンダーマックスでの説明になるのかってそれは管理人が一番触ったことのある
インジェクションコントローラーがサンダーマックスだからである。
でも他のインジェクションコントローラーでも作業的にはほとんど同じだから説明にはなるはず。
すべての部品が取り付け終わったらまずはPCの専用ソフトでベースとなるマップを選択、PCとサンダーマックスをつないでそのマップをサンダーマックス内に流し込む。
ベースマップはメーカーが用意してくれている物で各年式や車種、取り付けられている部品(カムだのマフラーだの)毎に何種類も準備されているので自分のバイクの
環境にあったマップを選択することができるはず。
そんなに細かくマップがあるならそこからあえていじっていく必要があるのか?と考えると思うんだけど、これがねぇ、サンダーマックスとかのコントローラーメーカー
が提供しているマップは実におお味で、一体なにが目的のマップかわからないんですよ。パワー?燃費??
よく言えばどんな車両でもある程度走る万能性、悪く言えばいい加減って感じもものなんですわ。
なんで、ベースマップを元にその車両とオーナーの希望によるセッティングをしていくわけです。
REVリミットだの、アイドリング回転数だのちょこちょこといじったらまずは空燃比の調整をざっくりやります。理論的なパワー空燃比や燃費空燃比など色々な ことを考えてまずざっくりいじり倒す。この作業はキャブのジェット交換に準ずると思うんだけど、もう細かさが圧倒的に違う。
サンダーマックスの場合2次グラフが0から7500RPMまで(だったかな?)256RPM刻みでずらっと並び、各グラフは縦が空燃比、横がスロットル開度となっている。
ここをちょこちょこいじっていくだよ…大変だわ。
でもこれによってキャブでは絶対不可能な、例えば1000RPMでスロットル開度15°の時は空燃比14、でも17°の時は空燃比12だよーとかの指定が可能(実際にはやらんぞ?)
になる。
ちなみにサンダーマックス以外の例えばツインテックとかだとこれが3次元グラフとエクセル方眼紙よろしくの数値の表、Direct Linkとかは方眼紙のみでやる。
わけのわからん数字が並んでいる表はそれはもう圧巻である。
ある程度空燃比をいじった今度は点火のタイミングもいじっていく。
これも空燃比同様燃費やパワー、下手なことすればノッキング(意図しないタイミングでガソリンが燃焼してしまい変な音を出し最悪ピストンを壊す恐ろしい現象)
を起こす場所なんで、あんまりやりすぎず、且つ乗りやすくパワーがでる方向でいじっていくよ。
低アイドリング時は所謂三拍子風にするために遅くしたり、巡航時は早めにしたりとこれも過去には不可能だった細かさでタイミングを指定していく。
これもサンダーマックスの場合は2次グラフ、他のやつも空燃比の指定と同じ画面と方法でやる。面倒だけどやる。
ある程度やったらいよいよシャシダイに乗せたり、実際に試乗してみる。
それで気に食わないところがあるようなら更に数値をいじる。こんな感じで燃調と点火タイミングを決めていく。
確かにフルコンの場合はよく自動的にセッティング(サンダーマックスの場合オートチューンとか言う名前)が出るから、セッティング作業は楽!
って聞くけど、これは厳密には間違い。
確かにサンダーマックスをはじめ各種コントローラーは自動的に調整をしてくれる部分はある。でもそれは上記に書いてある理論排気量の予測値を変更してチューナーが狙った空燃比に合わせてくれるって事なんですわ。
まずサンダーマックスは現在持っている各種数値を元に燃料を出す。それを燃やした結果をワイドバンドO2センサーが読み込んで実際の空燃比を算出。 この値が指定値と違う場合、サンダーマックスは理論排気量のが違うと判断、で、理論排気量の値をタイムリーに修正していく。これが いわゆるオートチューンの仕事です。
名前だけ聞くと空燃比から点火のタイミングまで自動的にセッティング出してくれそうだけど、実際には全然違ってインジェクション特有の機能のせいで正確な 燃調を出すための数値があくまでも予測値でしかない部分をおぎなうためにある、そんな機能の事なんですわ。
よってキャブと同じようにインジェクションも人の手によってきちんとした値を指定してやる必要があるわけです。
セッティングが簡単にだせそうなイメージのサンダーマックスとかだけど、実際にはいじる場所も多く、また細かいために基礎的知識がないと途方に暮れると思います。
自分でシコシコ勉強してやるのもいいですが、これねー、プロ(バイク屋)さんに任せたほうがいい結果でますよ?それぐらいめんどくさいです…
名前の通りのオートではなく、肝心な部分は人が指定してやらなきゃいけないし、細かいし。でも自分でやりたい!って人はバンバンチャレンジしてみてください。
絶対楽しいよ!
以上でハーレーのインジェクションにまつわる話は終わりです。もしサンダーマックス以外のコントローラー触ったらもうちょっと書くかもしれません。
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