パンヘッド間違い探し--3-- 腰下編

パンヘッド間違い探し--腰下編--

一回目はここから

てことで前回に続いてパンヘッド編第三段は腰下編とする。

腰下も腰上と同様大きな変更点は少ない。
だがしかし、ここも細かくちょこちょこといやらしい変更をが多かった。

例によって記憶を頼りに書いてくけど、あまりにも細かい変更が多いんで多分なんかが抜けるはず。その辺はご留意を。あと主観も入るんでそれほど信憑性が高くないとも付け加えておこう。

クランクケース色々

まずはクランクケースから。
ケースの変更は例えばカムやフライホイールの変更とに伴いそれに合わせるような変更が殆どで、外観上はリブ形状の変更や特定のネジ穴の廃止などマジで間違い探しの領域に入る程度なので省く。というよりよくわかっていないです…

まずは1948年から52年までは大きな変更は無い。
1953年より油圧ユニットの変更(ショベルと同じ物を使いだす)によりヘッドに行くオイルラインを分岐し、タペットブロックへのラインを新設。
それと同時に油圧ユニットにゴミが行かないようにするのと、プアーなオイルの流れを管理するために謎の機構この辺の質問を参照)を搭載したタペットスクリーンを装着した。

それと同時だと思うが、ヘッドから帰ってきてシリンダーを通り、ケースに返されるオイルラインも今までの謎で無駄なラインを廃止、ちょっと記憶があやふやだけどショベル同様にシリンダー内に吐き出すようにしたかケースにストレートに穴を開け、ジャバジャバと流れるようにした。

この初期型のオイルライン、シリンダーと接する面に長ーくオイルが流れるように凹みが続いているんだけど、ただでさえ弱い鋳物ケースにガッチガチに止められるシリンダと相まって歪が発生、その歪からオイルが漏れてくるっていうきっつい仕様で、完全に直すにはバラバラにしてシリンダースタッド抜いてフライスかなんかできっちり面を出さないと直らず頭の痛い問題となっていた。

お気軽にオイル漏れ直してーなんて仕事を受けると直すためには腰下まで全バラにしないと直せない可能性が高いって事で、恐怖の対象だったのである。

ともあれこのバカバカしい構造は1953年に直され、数多くのメカニックを救ったことだろう。

続いて管理人の知っている部分中で一番の迷走部分であり、混乱の元であるケースベアリング変更。

1955年よりフライホイールを左右で支えるケースベアリングが変更になる。左側(プライマリー側)のベアリングは一発でテーパーベアリングに変更、アーリショベル時代に小変更を受けるが、これは基本的にEVO時代まで引き継がれる完成形となった。

同時にやっとオイルシールが併設された。

え?やっとオイルシールがついたのかよ!なら今までどうやってオイル止めてたんだ!

と思われた方もいるであろう。管理人もそう思うが、実際についていなかった。
ならどうやってオイルを止めてたかっていうと、スプロケットシャフト(フライホイールから生えているプライマリーのスプロケがくっつくシャフトの事)とケースの間に逆スパイラルがついたレース?みたいなのがあり、それが走行中はぐるぐる回り流れ出てくるオイルをエンジン内に押し戻していた。

なら停車中はっていうと…オイルを止める術はなく、基本だだもれである!

なんで1955年以前のパンヘッドはサイドスタンドで停車しているとオイルがだだ漏れなのは仕様となる。

なんでこんな構造をしているかっていうと、当時のリジットは停車中は車体の後ろにある自転車のスタンドみたいなのを使って車体を真っ直ぐ垂直状態で停めるのが仕様であり、正しい停車方法だった。

だけど、やったことある人ならわかると思うが、アレ使うのって非常にめんどくさくまた力もいる。
恐らく当時のアメリカでも同様の意見だったのであろう。

おい!俺の買った新車のパンヘッド!!!停めておくとオイルが下に溜まってるぞ!おかげで庭の芝が枯れたわ!
は?センタースタンド使えって???あんな重いのいちいち使ってられるか!

などというクレームが頻発したかどうかはわからないが、ここにきてナックル時代から使ってきたこのスパイラルを捨て、やっとシールがつくのであった。これによりハーレーは停車するときにサイドスタンドっていう極標準的な停車方法を獲得する。

このサイドスタンドって呼び名だけど、日本的な言い方でハーレーの場合(他の国でもなのかは知らん)はキックスタンドなんて呼び名になる。
まぁ文化的な差だし管理人は日本人なんで、ここではサイドスタンドと言っておこう。

ちなみに55年以前のこの構造に突っ込む社外品のシールキットもあるが、効果は…まぁないよりマシ程度(あくまでも主観だが)と付け加えておこう。

クランクケースベアリング

ちょっと長くなったんで、分けてみた。

どうせ同じだろと思わせておいて全く互換性が無いこのケースベアリング、まず左側と同様に55年に一発目の変更を受ける。

この時の変更がどんなだったか忘れたけど、それ以降のやつに比べて確か一回り小さいのがいれられたような気がする。

とりあえず変更してみたが、何かが気に食わなかったんだろう。苦労して作ったであろうこの構造は1957年までのわずか2年しか使わず、1958年リアにサスがつくと同時にバッサリとやめてそこからEVO時代まで続くベアリングへと変更した。

それと同時にカムを保持するケース側の構造をブッシュからベアリング方式にし、ケース右側のこの辺の構造については1992年まで使われ続けることになるほどハーレーにとっては完成形だったのであろう。

この短期間の細かく互換性の無い変更(当然フライホイールにつくシャフト関係にも変更が及んでいる)は後世のメカニック達に阿鼻叫喚をもたらすことになった。

時間の都合によりここまでにします。

そして第4段に続きます


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