ピストンとシリンダーのお話
はぁぁ・・・いいバルブスプリングねーなー。いっそ作っちまうかぁ
        という、いつもの適当な思いつきから調べていったら結構な問題があるってのが発覚した我らがハーレーのパンヘッドやショベルのバルブスプリング。
        今回はその辺の説明をして行こうと思う。
    
なに??バルブスプリング?おめー前回のオイルポンプといい最近小さい部品ばっかネタにしてね?
        と、思う方もいるだろう。
        管理人もそう思う。もっとこう・・・メカニック受けしないふつーにバイク乗っている人が楽しめる題材を扱うべきだろうとも思う。
    
だがしかし!プロアンサーはどーしても!管理人の特性上!こっち方面に進むんである!
ということで、ショベルだのパン(ひょっとしたらナックルもだけどわからん)だののバルブスプリングが如何にやばかったのか、そもそもバルブスプリングとはなんぞや?を含めて書いていってみよう!
そもそもバルブスプリングとは…
給排気の弁(バルブ)をカムに追従させ開け閉めするための力
である。この他にバルブが閉まっている時にバルブシートに密着させ、圧縮を逃さないようにする仕事もある。
プッシュロット調整とか点火時期をあわせるのにプラグを抜いてクランキングさせた方ならわかると思うが、このバルブスプリング、結構な力がかかっていて、バルブが開く位置なんかでスプリングにテンションが掛かるとロッカーアーム→プッシュロット→カムと介してクランクを逆に動かすほどのテンションがある。
この猛烈なテンションは当然エンジン回転に対しても負荷となっており、車、バイクを問わずこのスプリングをいかにして軽くするか、なんなら無くせないかと結構な昔からメーカー各社はしのぎを削って開発していたりする。
んん?そんなに重くて抵抗になるなら思いっきり軽くすればいいじゃん!
と思う方もいるであろう。
        しかしこのバルブスプリング、バルブの大きさ(重さ)に比例してどーしても強くなっていく。
        まず、当然であるが、バルブは猛烈な勢いで往復(つまり開閉)している。例えばショベルとかで適当なスピードで巡航しているとしよう。このときエンジンはだいたいであるが2,100RPMぐらいで回っていると仮定する。
                各バルブはエンジン回転数2回転に一回開閉するので、単純に÷2で一箇所のバルブはこのとき1,050/min回、つまり1分間に1,050回開閉することになる。これを1秒換算すると1,050/60で=17.5回なる。
        
            どうだろうか?そうとう猛烈な勢いで開閉しているのがわかっていだだけただろうか?
            ちなみハーレーではお手軽?にこの勢いを目で見る事ができる。プッシュロットカバーを取ってエンジンをかけてみよう。猛烈な勢いでビコビコと往復するプッシュロットを目の当たりにすることができる。このさいちょいと回転を上げるともはや早すぎて人間の目では往復しているのかどうか確認できずプッシュロットが分身の術を使っているように見えるはずだ。
            (ちなみに本当にやるとリターンオイルがビッチャビチャになるし、色々良いこと無いのであんまりおすすめしないよ)
        
んで、この猛烈に往復しているバルブスプリングを弱くすとどうなるのか?
まずはとーぜん圧縮が抜ける。
            これはもう単純に力が弱すぎて、バルブシートへの密着が弱くなるため。
                後はまずバルブは完璧にカムの動きに合わせて開閉する必要がある。これはロッカーアームがあろうがプッシュロットを介すOHVだろうかOHCだろうが一緒である。
                もちろんカムの設計思想に合わせ性能を出し切るって意味もあるが、仮にカムに完全に追従しない場合、バルブジャンプと言われる恐ろしい現象が発生する。これはバルブスプリングが弱い等の理由でカムの動きに追従できない=バルブが予定外の位置にいるということであり、最悪ピストンと接触、エンジンがぶっ壊れる現象である。
            
                この手の現象はサージングと呼ばれる抑えのなくなったバルブスプリングが共振現象を起こすことによりありとあらゆるバルブ周りのトラブルを生むことになる。
                もうちょい詳しく知りたい方は色々調べてほしい。
            
こんな感じでバルブの重く(質量なんだけどね。めんどくせーから重さで。ちなみにここにはバルブリテーナーとかコッターとかも入る)なればなるほどスプリングはカムに完璧に追従するために強くなっていく必要が理解していただけただろうか?
んじゃ思いっきりスプリングを強くすればいいじゃん!
と、思う方もいるであろう。
                    しかし上にも書いたが、バルブスプリングは猛烈に力を使う。これはあくまでエンジン内部でパワーロスとなるので、最終的にはおもいっきり出力低下ににつながる。
                    また、このスプリングの負荷はそれはもう本当にバカにできないレベルでカムとかブッシュロットとかリフターとかベアリングに負荷をかける。マジでぶっ壊れる原因になっていたりする。
            
                さらにさらにハーレーの場合、プッシュロットの調整に油圧ユニットを使っている。
                エンジンの静粛性に一役買っているこのユニットだが、強すぎるバルブスプリングを入れるとこの油圧が抜けるんである。ふつーに走っていると突然
            
カンカンカンカン!!!シーン・・・カンカン!
とか言うなんとも言えないリズムで音を出すことがあったりするんである。
        当然こんな状態ではまともに乗れないし、スプリングに由来しないサージングとかも起きるので極めて良くない状態だと言えるであろう。
長くなりそうなので一旦終わり!その2に続く…
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