なぜスタッドレスタイヤはグリップするか?

冬だ!雪だ!タイヤ交換だ…

と、毎年雪国に住む車乗りの気持ちをどん底にたたき落とすこの季節、関東や南のほうに住む人にはわからないだろうが、この時期のナウでヤングな雪国人の挨拶は
タイヤ交換した?
これである。タイヤ交換してガラスの腰が砕け散るまでがヤングの証でもある。
ましてや今年はただでさえ憂鬱なのに去年の大雪を受けてこともあろうか国土交通省より強制チェーン縛りが発動せれるようで、雪支度に忙しい雪国住民に更に追い打ちをかけた。

つーことで、今回は強制的に雪国気分になれるスタッドレスタイヤがなぜ雪だのなんだのでノーマルタイヤよりグリップするのかを書いてみる。
勿論前回でめんどくさい事を書いた反動である。どこぞのバイク屋がフライホイールの重い軽いを書いてみろって言ってるけど、それも無視してスタッドレス。

なんでバイク屋がそんな事知ってんだよ?
ごもっともなご指摘であるが、バイクに乗っていても雪国では当然車にも乗っている。
車に乗っているならスタッドレスもはく、ならスタッドレスの事をバイク屋にも聞いてみよう!という人が結構いたので、答えるために調べていたらなんとなく覚えた事である。
例によって無責任な内容だけど、ちょっとでもあ~~~~と思ってもらえれば。

スタッドレスはなぜ雪や凍結路面でグリップするか

管理人はスパイクタイヤからスタッドレスに移行する時はさすがに車の免許どころか自転車も乗れるかどうかの歳だったので、この時のドライバーの不安をリアルタイムでは知らない。
だが、後から聞いた話では当時のドライバーは不安によるパニックで阿鼻叫喚の状態だったらしい。

ちなみにスパイクタイヤってのは名前のとおりタイヤに鋲が刺さっていて、今でも使えるならスタッドレスに後塵を浴びせまくり間違いなくグリップしまくる代物で、当時のトラックドライバー曰く、
ノーマルタイヤより止まる。曲がる。
と、答えてしまうレベルでグリップしたらしい。
実際にちょっと前(今も?)までは一部地域の緊急車両に限ってはスパイクタイヤの装着が許されていた。

だがしかし、雪が道路にあればいいが、ない場合は派手に道路を削り、センターラインや横断歩道などは削れ無くなり、それでは足りずとアスファルトまでガリガリと削り倒し、春になるとPM2.5なんて言ってる場合じゃないぐらいの粉塵地獄となった。

これじゃさすがにいかん!ってことでスタッドレスの登場となったわけだ。

  • ノーマルタイヤのトレッド面。基本的に縦溝で構成されている。しかし減ってるなこのタイヤ…

  • こちらはスタッドレス。縦というよりブロック状に仕切られ更に細かいジグザグの溝があるのがわかるだろう。

つーことで両タイヤの表面のトレッドパターンを見比べてみよう。
南国や太平洋側で雪道を知らず生きているうらやましい皆さま、これがスタッドレスの表面である!

両方を比較すると、ノーマルは溝が基本的に縦方向で、それほど細かく溝が切ってあるわけでもなく、溝も浅い。対してスタッドレスは溝も深く、しかもブロック状になっており、そこにはしわのように細かい溝が切ってある。

そして触ってみるとこれがまた異常に柔らかい。ぐっと押すと各ブロックが変形するぐらい柔らかい。

ノーマルのタイヤではこんなことないんだけど、この辺にスタッドレスが対雪道仕様であることに秘密があって、この変形によりしわのような細かい溝のエッジが立つことにより路面に爪を立てるような感じでグリップしているのである。

もちろんゴムの改質など(発砲系ゴム使っていいたりその昔はクルミの殻が入っているなんてのもあった)などもあるけど基本原理はこれである。

この表面を変形させエッジを立てるということで、雪国に住む一部の猛者は氷に強いという一点のみでノーマルより過重をかけ変形させるためにタイヤの幅を落とす輩もいるが、新雪に対しては弱くなる諸刃の剣なので初心者にはおすすめできない。だが、こんな技法があるってことでスタッドレスが如何にエッジを立てて走っているかわかっていただけただろうか(わからんわな…)

そしてこんな構造をしているんで、スタッドレスは見た目より接地面積が狭くノーマルタイヤと比べるとドライ時の性能は各段に落ちる。
ノーマルタイヤが普通の靴はいて立っている状態なら、スタッドレスはつま先で立っているみたいなもんだからね。
また濡れた路面でも排水性がそれほど高くないので、これまたノーマルより性能が落ちる傾向がある。

更に更に固くなるとトレッドの変形が起きなくなり、対雪道性能はがくがく落ちる。
そして基本的にやわらかいもんだからめきめき減る。たぶんノーマルタイヤの2~3倍のスピードで減っていく。

この為雪国住人は数年に一度タイヤを購入する憂き目にあっているのだ。離島のガソリンみたいなもんだ。

このようにしてスタッドレスタイヤはノーマルに対して欠点だらけだが、無いと雪国で暮らせない悲しいものである。

こうして管理人はタイヤ交換で痛めた腰を擦りながら温いビールをちびりと啜り、そっとこの記事を更新するのであった。

終わり


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