2020年4月21、寝るかと思ってなんとなくニュース見てたてたらWTI5月の先物原油が1バレル(159リットルぐらいらしい。)11.95$とかになってて
「はーこりゃビールより安いわ」などとのんびり思っていた。
そのあとなんとなーく夜中に見てみたら…なんと0円に!
なんだ0円って!田んぼの土より安いじゃねーか!などと思って、寝て起きたらこれである。↓
NY原油先物、史上初のマイナス 1バレル=マイナス37.63$!
ついにマイナスである。
てことは原油を1バレル買うと37$もらえるという謎の現象が起きていた。まさに安くなるなんて次元じゃなく、金やるから頼むから持ってってくれ相場。こんなのは当然史上初である。
ここまで原油が下がってるなら当然ガソリンも下がるだろと思うんだが、我が家から近いガソリンスタンドはこのこの数ヶ月に渡って130円に張り付いたまんまである。
正直これはおかしいってんで、なんでガソリンが下がらないのか色々調べてみた。
後、この異常なまでの原油安はなんで起きたんだよ!ってのも適当に書いていくよ。
その前にWTIって何を引用しておく。
- WTI原油指標とは?
WTI原油先物は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)というアメリカの代表的な原油の先物商品のこと。WTIとは、西テキサス地方の中質原油という意味で、この地方の原油は含有硫黄分が少なく軽質で、ガソリンや軽油が多く採れるといった特徴があります。取引量と市場参加者が多いことから、原油価格の代表的な指標のひとつに数えられています。WTI原油先物は、1983年5月にニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場され、同取引所の主要商品となっています。
て、ことらしい。このWTI、日本に入ってい来る事は多分エンジンオイル的な形で入ってくるのかもしれないが、原油としては言ってくるのは数%程度らしい。
んじゃ、日本の原油はどっからくるんだっていうとそのほとんどを中東が占めているので、WTIの価格が即日本の原油価格では無いと付け加えておこう。
ちなみにこれを書いている2020年4月21日の中東原油のお値段は1バレル=19US$を切り、やっぱり大騒ぎとなった。
今回はかなり思いつきで書いているので、結構長くなると思う。読み切ろうと思う人は覚悟されたし。
後、外部リンクも相当多用する。管理人的な頭の硬いメカニックはどーしても信用できるsourceがないと駄目なので、なるべく出典元とかその辺を明らかにしていこうと思う。
原油価格の下落の大本
―――ロシアとサウジの意地の張り合い――――
いやいやいや…子供じゃないんだからそんなんで原油価格が決まってたまっか!
と、誰もが思うが、そもそもWTI5月先物でここまで下がったのは新型コロナの猛威に合わせてこの産油国同士のそりが合わなかったのが原因の一つである。
時は2020年3月5日、OPEC(※1)で、4月以降に今まで原油価格を維持するための減産協定が失効するってんで話合いの準備となった。
んで、翌日?にOPECとロシアを含む非OPECの主要産油国は減産に向けての協議を行う事となった。
そもそもコロナの影響で減産をしていたサウジアラビア含むOPECはこのままじゃいかんと更なる減産しようと訴えた。
サウジ「ロシアー、あのさ、原油の需要メッチャ減ってるしここいらで作るのやめないと更に値崩れして偉いことになるからそろそろやめよーぜー」
ロシア「は?駄目だろ。そんな事したらバカスカほってるアメリカが得するだろ?アイツラにこのままじゃ原油の客全部もってかれっぞ?
最近うちの石油会社にちょっかいだしてるしよー」
サウジ「んじゃどーすんだよ。このまま行けば原油がビール以下になるぞ…」
ロシア「は?知るかよばーーか!こっちは金ためたんだ!25$が10年続いても平気だわ!ぼけぇ!」
サウジ「………5倍」
ロシア「は?」
サウジ「うるせぇ!馬鹿野郎!そっちがその気ならこっちは今までの5倍産油してやるよ!
後で吠え面かくんじゃねえぞ!」
ロシア「上等だ!ばーーーーーか!」
という流れ(今回はマジでこれ)になり、タダでさえ原油が余りまくっていた所に過去最高の日量(1200万バレル)を更に目指すってぐらいサウジが激おことなった。
当然こんな流れに市場は即反応、ガッツリと原油が下がりだす。
流石にこれじゃいかんとなったのだろう。ついにアメリカが双方の仲裁に乗り出すが、そもそもアメリカが減産もせずバカスカ原油掘りまくってたのが事の発端なんで、なんとも端切れの悪い仲裁しかできなかった。
そんなこんなしている間に原油はみるみる下落、そりゃそーだ。掘っても買い手がつかなきゃ値段は下がる。
流石に慌てたアメリカ、ロシア、サウジアラビアの3国は4月15日、曰く「歴史的合意」を取り付けやっと減産へと動く事になった。(source:【時事通信】世界の産油量、15%削減 米・ロ・サウジが歴史的合意―コロナ危機に対応)
だが時既に遅し。
業者A「お前の所原油置く場所ある?」
業者B「いや、もう無いからCに聞いてみようかと。おーいC!お前の所に原油まだおけるかー?」
業者C「いやいやいや、無理無理!もう置き場所ねーから売ろうと思ってたとこだわ。」
業者AとB「いや、置き場がねーってやばくね?原油このままじゃ腐るし、なんだかんだでまだ産油国で原油掘ってるし…やばくね?」
業者A、B、C「いやいや!やばいって!こんなん持ってたらゴミになるわ!売れ売れうれ!!!うりまくれぇぇっぇぇぇぇえぇっっぇえええ!!!!!!」
これがここ数日で起きたことである。
ここまで要約
- コロナで需要がタダでさえ下がっていた。灯油(ジェット燃料が原油より高いレベル)
- そんな中、ロシアとサウジアラビアが意地の張り合い(笑)
- ガンガン原油を産油!!!
- アメリカ「もうやめろや!おまえら!」
- お、おう。やめるわ
- 業者「いや、もう遅いから」
と、割とマジでWTIの価格はこうしてさがっていったのであった。
出典元:【独立行政法人経済産業研究所】原油価格急落、「OPECプラス」に何が起きたのか 緊迫する原油市場、サウジアラビアとシェール企業が窮地に
出典元:【NHK】「ロシア対サウジアラビア、原油価格暴落、それぞれの思惑は?」(キャッチ!ワールドアイ)
※1
OPECとは
石油輸出国機構(せきゆゆしゅつこくきこう、英: Organization of the Petroleum Exporting Countries、略称:OPEC(日本語発音:オペックopec、アメリカ英語発音:[ˈoʊpek] オウペク))は、国際石油資本などから石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年9月14日に設立された組織である。設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国を加盟国としていたものの、後に加盟国は増加し、2018年7月現在では15ヶ国が加盟している。
ならなんでガソリンの値段が下がらないんだ!
やっと本題?である。
こんな感じで現在はちょっと過去に例がないレベルの原油安である。当然原油はガソリンや軽油、灯油などの原料なんで、原油が下がればガソリンもさがり、我がバイクや車乗りは喜々とするべきことなんであるが、なぜかガソリンだけは下がってこない…。
いや、原油とか下がってもガソリンかんけーねんじゃね? と思われても嫌なんで、一つのデータを貼っておこう。
と、こんな感じで大体原油価格の1ヶ月後ぐらいに原油に合わせて動くのがわかっていただけるだろう。
てことは、現在の価格は一ヶ月前の原油価格と概ね同水準で落ちていないと今までと合わないおかしな動きとなる。
てことで、去年の12月から4月までのガソリン価格とWTIの価格を乗せたグラフを準備してみた。
(ガソリンの小売価格は資源エネルギー庁のサイトから、WTI原油価格はInvesting.com日本語版より抜粋。)
…おかしいんである。原油の落ち込みに対してやっぱりガソリンの落ち込みがゆるやかなんである。
もちろんガソリン価格と原油では値段の単位がちがうんで、横軸側はなんとなくの比率であわせた。数値は合ってるが増減の比率はそんな感じなんで、厳密ではない。それでもガソリンの落ち込みが遅いのがわかっていただけただろう。
んで、あんまりにも下がるのが遅いんで調べてみたら、どっかの御用コンサルみたいなのが訳のわからん事を言っていた。(流石にリンクは貼らない)
曰く、ガソリンの内訳は半分以上が税金なんで、下がりづらい…等々言っていたんだがちょっとまってほしい。
我々おっさんは1リッター辺り90円前後の時代を体験している。ほとんどが税金だって言うのであれば、当時はなぜあんなに安かったかという話にある。
てことで、調べてみよう。
時は2001年9月、まだまだ管理人が超フレッシュ(でも無いかも…)なメカニックで、ハーレーはTC88が花盛りといった時代。
当時のガソリン価格はレギュラーで1リットル102円(資源エネルギー庁のサイトより)と今からみると圧倒的な低価格だった。
しかもこれは全国平均での話で、当地では90円台だった記憶がある。
んじゃこの頃のWTIでの原油価格はいくらだったか?9月の一ヶ月前、2001年8月の1バレル辺りの価格を調べてみた。
一般財団法人日本エネルギー経済研究所の 1999 年以降の原油価格高騰をめぐる国際石油市場の動向と各国の 対応等に関する調査のレポート見ると、2001年8月の1バレル辺りの原油価格は27.41US$となっている。
この数字をここ最近の価格と比較してみるとちょうど一ヶ月前の3月20日頃となる。つまり過去の例に倣うと現在は1リッター100円前後で販売されていても不思議ではないほど原油が下がっているってのがわかるだろう。
ちなみに当時のドル円の為替レートも調べてみよう。2001年8月の平均レートは1$=121.66円(七十七銀行より)と今より円安であった。
いやいやいや、税金が大半だってんであれば税金が当時よりおおいんでしょ!と思われる人もいるだろう。
最もである。なので調べてみた。でも面倒だったからWikipediaでご容赦。
揮発油税のページ
みてもらえればわかるけど、消費税分となんとか税分がちょっと上がるだけで、ほとんど税率が変わっていなことががわかるだろう。
ここまでのまとめ
- 今の原油価格とガソリン価格の剥離はおかしい
- 2001年の基準から行けば今はもっと安い
- ちなみに2001年は今より円安だったから更におかしい
- 税率は2001年と比べて消費税とかで上がっているが、それでも30円も差を生むレベルじゃない
ざっとこんなところだろう。
ではなぜガソリンは下がらないのか?
2001年の基準であれば誰かがリッターあたり20円ぐらい設けている事になる。
てことで色々考えてみた。
人件費の高騰
日本国内はさほど変わらない、むしろ下がっているのかもしれないが、海外では当時より相当人件費が上がっただろう。この影響は大いにあると思う。
小売(ガソリンスタンド)が今まで負け分を取り返している
ガソリンスタンドも車の省燃費化や高齢化によりその存続が危ぶまれる存在だ。
地方では近所のスタンドがなくなって、ガソリンを買うのに何キロも走らないと駄目なんて話も出てきている。
では都市部ではと言うと、細った需要の食い合いのおかげで低価格競争が激しい場所もあるらしい。
てことで、仕入れが今までより安くなっている今がチャンスと言わんばかりに、値段を下げず今までの痛みをペイしようとしている。なんてこともあるかもしれない。
需要の急減、若しくは予測によって薄利多売ができない
これは元売りの話。ありえるだろう。
ここまでは許される理由だと思う。みんながちょっと高いお金を払うことで、経済が回るのであればこれほど良いことは無いだろう。
んじゃ次はあんまり良くない理由を考えてみよう。
元売りの統合による数の減少により寡占状態が起きている
まずは次の絵を見ていただきたい。
この図は所謂日本の石油元請け会社の再編図となる。
日本ではこのような再編を繰り返し、元売り会社が17から2020年現在は実質4社と猛烈に減っているのである。
これだけ減れば、しかも販売量に偏りがあるのでまー好き放題できるでしょう。
〆
てことで、色々な実験記事はこれで終わり!
とにかくバイクや車に乗る人間や、農家さんも漁師さんも運送業的にもガソリンや軽油が下がるのはありがたいはず。
世界的な経済から見ると、極端な値段の低下は良くないけど、それでもこの新型コロナ騒ぎでみんなが暗くなっている時に趣味でガソリン燃やす我々には結構嬉しい話である。
てことで、安くなったガソリンガンガン燃やして人混み避けてバイクにのりましょー!
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