過去にあった極悪な不良品達
前回はまだ笑える(?)不良品の話をした。
書いた後に思い出したネジが切られていないナット(しっかり美しいクロームメッキ済)やネジの切ってないスタッドボルト(ただの棒)やカビだらけだったり、ビードが完全に折れているタイヤなど他にもたくさんの乾いた笑いを提供してくれた名品達。
ただ今回はこの笑いの道を忘れ、ひたすらダメージを与える事にのみ特化した外法、外道の不良品達を紹介する。
今回もノンフィクションとなる。マジで本当に気をつけないと切ない思いをしますぜ?
不良品・・・極悪編
管理人の脳裏に焼き付いた洒落にならん極悪なダメージ(精神にも時間にもバイクにも)を残していった猛者共の話である。
- 数ミリズレているオイルライン
一発目はパンのロッカーアームホルダー
何かと問題が多いこの部品であるが、今から10年前ぐらいは結構まともな社外品があった。
この社外品が入手できなくなった直後にこの事件は起きる。その時はいつもどおりのパンヘッドのオーバーホールだった。
特段でかいダメージもなく、すんなり済むと思っていたんだけけど、ロッカーアームホルダーがガバガバなんでならいつものやつと交換するかと思い注文したが、例によってバックオーダー(その後この品物のBOは解消されず露の如く消えてしまう…)。仕方ないので今考えれば非常に危険なパターンなんだけど、他メーカーの品物を頼んだ。
意外とすんなり届いたそれを管理人はよせばいいのに寸法とクリアランスの確認程度で組んでしまった。だって今までその程度の確認でも十分だったしおかしくなった事なんてなかったし!こんな感じで首尾よく組み上がりいよいよ試乗の運びとなる。
管理人の場合ビビリなんで、お客様にバイク渡す前に数回に分けて300キロぐらい乗るんだけど、この試乗中には問題は起きず。
このまま納車しても大丈夫だろうってことで一度納車をした。2週間後お客さんから電話が…
すいません、この前のオーバーホールの後乗るとたまにエンジンが止まるんですけど…
こんな時管理人はうわー!きたー!やってしまった!どーしよーー!!ウヒー!ごめんなさいーーー!すぐ行きます!となる。もう絶対俺なんかやったと思う。
引き取りににって話を聞くと、いつも止まるわけじゃなくしばらく走ると止まる事があるとのこと。
でかいトラブルなら試乗中に出ててもいいんで、こりゃコイルのおやすみ現象か?と症状を出すためいに試乗開始するも、中々出てこない…。100キロほど乗った後ついにエンジンが停止!
止まり方的にはどーもバルブ周りぽいけどその時に出る独特の音は出ていない。この時点でバルブ周りにターゲットを絞ってバラすことに。ヘッド外してパンのカバー外して、バルブを確認するためにロッカーアームホルダーをバラすと…ヒカヒカに乾いている…。バルブは潤滑されているっぽいけど、ロッカーアームだけ乾ききって削れていてる。
他の3本も同様の状態で、一体なんだんだと調べてみたところ、ロッカーアームを潤滑するために切られている溝が数ミリずれていて、ロッカーアームだけ潤滑されない何とも妙な状態だった。
こうなるともう怒りである。組んだ己と作ったメーカーに、である。
バラシついでに他の部分もチェック、奇跡的に他にダメージがなかったのでロッカーアームだけ交換(もう同じところのは使わなかったような気がする)してなんとか修理完了となった。この件は久々の不良品でのエンジントラブルだったので、非常によく覚えている。これでも与えたダメージは少ないほうだと言えるだろう。
- ほんのりと曲がっているバルブ
題名の通り、結構やらしい曲がり方をしていたバルブがあった。このやらしい曲がり、曲率が非常に小さいのかなんなのか知らないが、マイクロゲージとかで太さ測ってもわからんレベルのだったんで原因特定にやけに手間取った。
そして本当に恐ろしいのはこれが何セットとっても全て曲がっていた事である。あるショベルをオーバーホールした時、このバルブを使った。当然バルブステムが曲がっているんで、どこかしらのクリアランスが狭くなるんだろう、バルブステムは割とあっさり焼ける。
このステム焼け、オーバーホール直後でちょっとでも無理するとわりと起こるトラブルなんで今回もそうだと思っていた。
ただ、暑い時に乗ったわけでもないし、回してもいないんだけどなー、なんでだろ?とは思ったが、おきてしまった者は仕方ない。手間と金額はかかるが再度バルブ周りを修理して試乗したら…また焼けやがった…。この時点で鈍い管理人も組み方か部品かなんかが悪いと気が付き徹底的に調べてやっとステムが曲がっていたのを突き止めたんである。
そして不安だったので、全ての在庫のバルブをチェック、どいつもこいつも曲がってやがる。ひどいものだとステムとバルブの傘が新円上に無いものまで出現。
このメーカーのバルブは永遠に封印される事となった。
- 無い穴、取り返しのつかない無い穴
16年ぐらい前、管理人がまだフレッシュなメカニックメーンだった頃の話。
最初はなんて事は無い、ショベルのカムカバーからのオイル漏れ修理だった。
カムカバーのガスケット交換はプッシュロッドだのエキゾーストだのポイントだのと結構外さなきゃいけない部品が多いが、それほど難しい作業でも無い。
ガッチリ張り付いたガスケットに少々手こずったものの、開けたついでの各部点検(つっても部品やクリアランスみてニヤニヤするレベル)も無事クリア。きれいにして組んで、エンジンかけてもうもれない事を確認。ささっと納車してしまった。数週間後お客さんから電話が…
エンジンから変な音して、エンジンかからなくなった!
こんな時管理人はふぁkかl;dfgkdふぁwgfvはsfvlsdfjkghぐあdsfdとなる。また俺なんかやったと思った。
だがしかし、カムカバーのガスケット交換だけしてどうすればエンジンにダメージが入るのか全く検討がつかない。
ともかく引き取り、オイルを抜いてみる。まるでメタリック系の塗料のようである…。
こいつはいかん、大ダメージ確定ってことでお客さんに全バラになる可能性と謝罪をして作業を開始。なぜこんな事になったかの原因を紐解く作業となる。乗り方や経年劣化で突然ココまで壊れることはないってんで、ガスケット交換の際になんかった可能性を疑い、腰上も適当にカムカバーを開けてみることに。
当初はオイルポンプのギヤのキーかスナップリングが飛んでオイルが回らなくなったんじゃないかと思っていたんだが、カムカバーを開けて愕然とする。オイルの焼けた匂いと雰囲気が充満しているのである。
キーが飛んだ程度じゃココまでひどい事にはならない。一体なんなんだとふと転がっている外したガスケットを見ると…無い。ピニオンに行くオイルラインの穴がない!
この小さい穴が空いていなかったため、オイルポンプからクランクにオイルが行かず大端部分が焼きついてしまっていたんである。こうなりゃ当然、全バラどころかフルオーバーホールとなる。たががガスケットに数ミリの穴が一個空いていなかっただけでフルオーバーホールである!
つーか組む時に気がつけよ!おれ!これが管理人が経験した一番最悪な結果を招いた不良品の話である。
いかがだろうか?たがが部品一個で何度もエンジン開けたり引き取りにいって、不良品とは甚だ迷惑なものである。
ただし、この致命傷系はほとんどが10年以上前ぐらいの話になるんじゃなかろうか?
なんで最近はなくなったのかって言うと、不良品自体が減ったわけじゃなく、ただ単に使う前にチェックをする癖がついたのと、部品の選定がうまくなったからだろうと思う。
これを読んでいる人の中にはバイク屋さんもいるだろうが、そうじゃない人もいるだろう。
皆様に次ぐ。部品選びの際に値段は2の次だと言っておこう!
不良品に泣かされる人類が一人でも減りますよーに!今回はこれで終わり!
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