ブリーザーバルブ のお仕事

バックラッシュのところで書いたブリーザーバルブの内容があまりにもざっくりしすぎとのご指摘があったので、 もうちょっと細かく書いてみようと思う。例によって記憶のみで書くので正確性はご容赦いただきたい。

追記 多分ここの続きになると思うブロバイからのオイル漏れをかきました。

ビッグツインのブリーザーバルブ

前にもちょっと書いたけど、ブリーザーバルブはネジで止まっているわけでもないし圧入されているわけでもない。ケースにいいクリアランスで入れられくるくる回ってるだけだ。

ビッグツインでは1936年のナックル登場の時から1992年EVO中期モデルまでの実に56年間という長い間採用されてきた。
93年以降は構造の見直しによりこのバルブはいらなくなり、ケースから取り付け部分もなくなってしまう。

ブリーザーバルブには何個かの穴が開いており、ケース側にも同様に穴が空いている。回っている時にこの穴と穴が重なることによって様々な仕事をする事ができる。

ブリーザーバルブがこんな感じで制御しているのは空気の流れである。

ピストンエンジンはピストンが上下することによって外から空気と燃料を吸い込んで、圧縮→爆発→排気というのを繰り返してるが、これはピストンの上のほうの話で、 ピストンの下でも同様にピストンの動きによって空気の移動が起きるんだよね。

ピストンが上昇している時は空気を吸い、下がっている時は空気を圧縮する。ただし燃焼室程狭くはないのでその流れは比較的緩やかだ。

こんな感じでこのバルブはピストンのストローク時の空気の流れを利用して様々な仕事をする。
ケースに刺さっているだけなんて書いたけど、この微妙な作業をするためにケースとのクリアランスは大事で、ガバガバなら空気の流れを制御できないし、きつけりゃうまく回らない。
なんでケースにダメージがあったら穴を大きくしてオーバーサイズのバルブを入れたりもするよ。

ブリーザーバルブの具体的なお仕事

具体的に何をやっているか一つ一つ説明してみる。でもこれがまた年式なんかによって微妙に違ったりするのがいやらしいところ。ただのピストンの上下する圧力のみでここまでするのかって思うわ。

クランクケースにたまったオイルをギヤケースに吐き出す

ケースにはピニオンシャフトを通ってオイルが供給されている。このオイルをギヤケース内に吐き出すタイミングを制御している。
たまったオイルはフライホイールにべったりついているんだけど、このオイルをケースの突起がそぎ落としブリーザーバルブへと導く。ブリーザーバルブはピストンのダウンストロークの圧を利用して 一気にギヤケース内にこのオイルを吐き出す。

ブロバイのオイル回収

ブロバイってはのは管理人が勝手に言ってるのかな、ブローバイガスの略でどんなエンジンでもこいつは発生する。
ピストンが上下する際、ケース側でも空気を出し入れしているんだけど、この出される空気がブロバイで燃焼の残りカスから霧化したオイルなどが混じっており、基本的に人体に有害だ。
なんで純正、たぶんアーリーショベル以降だったかはエアクリーナーに返して再燃焼させられている。

ブリーザーバルブが付いている車両は

カムカバーの割と上についてる穴→カムカバー内→クランクケース左下の小部屋→網だの鉄板だのの障害物→エンジンの外という複雑な経路を通すことによりブロバイに含まれるオイルを減らす努力をしているんだけど、 このケース小部屋内にはブロバイに入っていた微量なオイルが溜まっていくんだよね。

そのままじゃどんどんオイルが溜まっていって外に出ていってしまうから、ブリーザーバルブはピストンの上昇する時の空気の流れを使ってたまったオイルを吸い出す。
吸ったオイルはケース内からきたオイルと一緒にまたギヤカバー内に吐き出される

空気を吸う

空気を吐くなら当然その空気を吸わねばならん。ピストンの上昇に合わせて空気も吸ってるよ。
ブロバイ出口によくフィルターを付ける人がいるけど、この吸う工程の時に外からごみを吸わないための工夫になる。

オイルタンクを加圧

オイルタンクには3本のホースが入っている。オイルの行きと戻りはまぁわかるが、もう一本はっていうとオイルがエンジンに行きやすいように加圧するためのホースだよ。

ブリーザーバルブがギヤケースにオイルを吐き出す時にギヤケース内はピストンのダウンストロークにより圧がかかる。この圧をオイルタンクに送っている。

ここまでがほぼ全部のエンジンで行われてる行程。なんか他にもあったような気がするが。
ここからさらに車種ってかエンジンと年式によって仕事が追加されている。

エンジンの種類年式によって追加される仕事

ナックル

ナックルの場合上記の仕事に加えバルブ周りからオイルを吸う仕事が追加される。

1936年の初期型ナックルはエンジンオイルをバルブに給油する構造をしていないかった。付属のオイルさしで人間がオイルを付けてやるとんでも仕様だったが、 さすがにこれじゃいかんでしょってことで翌37年よりオイルが供給されるようになる。

ところが後付けなもんで、オイルをやったはいいけど戻す手段がない。で、付けられたのがこのオイルを吸う機能だ。

経路としてはブリーザーバルブのアップストローク時負圧→ケースの細い通路→リフターブロック→プッシュロットカバー→ナックルのあのロッカーアームホルダー→やっとバルブカバーと非常に 長くそして複雑だ。

ヘッドの戻りオイルはナックル以外は基本的に重力落下だけど、ナックルだけは重力に逆らう。しかもこの経路なんで回収能力は…って感じ。

ショベル

たしかパンには独特の能力がなかったはず…なんでショベル。もしかしたらパン最終のエレクトラグライドから合ったかもしれない機能。
ショベルの場合はプライマリーカバーに加圧するのとたまったオイルを回収する機能が追加される。

加圧はオイルタンクへ行くラインをわけていくだけだけど、吸うラインは完全に新設された。

この吸引力は中々のもんで、1分もあればプリマリーにたまった2リットル程度のオイルを完全に吸い上げてしまう事が過去の実験(失敗か)により判明している。

なんでプライマリーのオイルを吸うかって言うと、ナックルから1983年前後のショベルまでプリマリーチェーンを潤滑するためにエンジンオイルを使っていた。
オイルポンプから経路は各エンジンで微妙に違うが、プライマリーチェーンにオイルを垂らしていたんだよね。パンまでは恐ろしいことにこのオイルを垂れ流しにしていた。
でもこれじゃいかんでしょ!ってことでショベルぐらいからこのオイルを回収する方法をとったんだよね。なんでプライマリーから回収するオイルはエンジンオイルになる。

だがこのオイル、チェーンのゴミからクラッチのカスまで混じって非常に汚い…。今は無給油で伸びないチェーンがあるんで、これに交換することおすすめする。

こんな感じでブリーザーバルブは仕事をしているよ。
なんか足りないような気がしてならないんで、思い出したり指摘されたら書き足します。

ここで終わり!


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