調べたらショベル、パンのバルブスプリングが結構やばかった
前回ブログに引き続き今回も鉄ポンプ改良型オイルポンプについて書いていこう。
前回はなんかとっ散らかった感じになったが、今回はこのオイルポンプが一体どんな特徴を持っているかとか具体的な内容を書いていきたい。
とは行っても所詮はオイルポンプ。
見た目が鉄ポンプ"風"で性能が現代的ならそれでいいし、それを目標にしたのであんまり書くことが無い。なので設計上どこで苦労したのか、また一般的に鉄ポンプと後期アルミポンプとどこがどう違うのかをちょっと解説していきたい。
ちなみにナックルへの対応であるが、正直考えていない。
これはナックルの構造によるもので、そもそもあのエンジンって構造上ヘッドに大量(それこそパンとかショベルと同等に)にオイルが行くと派手にオイルが漏れるんだよね。
これはナックルが設計時にオイルをヘッドにいかないように設計されて、発売翌年にこれじゃいかんでしょ!ってことで後付でオイル回したもんだから、回収は下手だし、気密も甘いもんでじゃーじゃーと漏れる。
これは鉄ポンプでも同様で、プアーな鉄ポンプでもヘッドの行きラインにコックでもつけておかないとじゃばじゃばになっちゃったりする。
つまり景気の良いオイルポンプをつけてもその恩恵はまぁ少ない。こんな理由もあってあんまり考えていない。
でもしょせんは鉄ポンプ同士。一工夫すればつかないわけでも無いが、公式には対応していないと行っておこう。
ではどんなことをしていったか書いていってみよう。
まず最初に一瞬諦めようと思った原因がこれ。
アルミポンプの特徴としてヘッドに行くラインと腰下にいくラインが2系統に分かれていて優先的にヘッドに行くようになっているとか、ギヤが厚くて容量が多いとかはまぁなんとかなるんだけど、このギヤ室が逆にはまいった。
ギヤ室が逆ってどーいうことだよ!と言うのは、まずハーレー用のオイルポンプってのはなんか当然ではあるがギヤ室が2つある。一つはエンジンに供給するギヤ。もう一つはエンジンから回収したオイルをオイルタンクに戻すギヤとなる。
これがS&Sのオイルポンプを含むショベルからエボまでのポンプの場合はエンジン側がリターンライン、つまりオイルタンクに戻す側。
対して鉄ポンプの場合はエンジンに行く側(以下フィードライン)がエンジン側に来ている。こんな感じでまるっきり逆に(2つしか無いからまるっきりってほどでも無いが)なっているんである。
これの何が問題かってこのPACオイルポンプは可能な限り市販や既存の部品を使って使用するのを目的としている。
このため、ここが逆だとドライブシャフトとかいろんな物がつかえなくなるんだよね。そのためにこれを鉄ポンプデザインでまるで偉い人に怒られている管理人の手のひらの如くくるっとひっくり返す必要があった。そうしないと
この蓋も使えないし、シャフトも作るとかになりかねん。おかげでガスケットはつくらなければならなくなったが、もともと鉄ポンプ用のガスケットでは厚みが合わなかったので、これはまぁ仕方なしだろう。
ということで、フィード側の設計はこんな感じになる。
(あくまでも図面でしか無いため、細かいディテールは大幅にカットさているのをご了承くだされ)
後期ショベルってのは1970年以降のショベル、昔はコーンショベル(アーリショベル以前のカムカバー形状に対しての比較として作られた言葉かな?)と呼ばれているショベルにもつけてみたい!という欲求がまた苦労を招いた。
このコーンショベルはエボも含めてだけど、オイルポンプのデザインって純正的なものかS&S的なものかの2択しか現状無いんだよね。
でもこの鉄ポンプって見た目が古臭く、なんかいい感じなので、多分コーンショベルに付けても違和感ねーんじゃねーかと。チョッパー系によく合うんじゃないかと!誰もそんな細かいところ見てないかもしれんけど!しらんけど!
ただし細かくは書かないけど、一つの型(型高いんよ…そんなにたくさん作れないんよ…)からこれを行うには結構制約があって、これを考えるのにまた苦労した。
素直にパンからアーリーショベル専用にしときゃよかったんだけどね。
そんなわけでこのPACオイルポンプは純正鉄ポンプと一つ大きな見た目の違いがある。
それは
この赤い丸で囲んである部分が約5mmほど伸びちゃった。
後はパンヘッド用と同時期に発売はちょっと無理ってのと、取り付けの際はカムカバーと干渉しちゃう(なぜここがツライチになっていないのか)から多少削らないとつかないってのはここで言っておこう。
リリーフライン?何じゃそれ
という人のために改めてざっくり説明するとギヤがガンガン送ったオイルだけど、もういらない!って一線がある。
この一線を超えたオイルが圧力によってポンプを痛める前にさっさとどっかに行ってもらうラインのことを言う。
ギヤ式ポンプの特性上、オイルが冷えて硬い時にかなり余剰分がある。ただしあったまるとほとんど余らない。つまり冷えている時専用ライン的なもんである。
このライン、鉄ポンプや初期アルミポンプの場合はクランクケース(カム室)にダダ流れとなっており、1975年以降ぐらいかな?の純正とS&Sを筆頭とする社外ポンプはオイルポンプ内でリターンラインに直接返す方式となった。
確かに純正鉄ポンプ程度のオイル量なら冷えている時にケースにぶちまけてもそれほど問題にはならないだろう。
だがしかし、PACポンプは鉄ポンプとの比較で加工精度などを考えると下手すりゃ30%近くオイルの送る量(当然回収量も増えているよ)が増える。
流石にこれを直接クランクケースにぶちまけると回収が追いつかなくなる可能性があるので、なんとか余剰オイルをリターンラインに送る必要があった。
だた、アルミポンプのようにでかい蓋(純正やS&Sポンプはポンプその物が2分割になっている。このためスペース的には圧倒的に有利であり、その設計はかなり自由なんだよね)があるわけでもなく、限られたスペースでそれが可能か?いっそ外付けラインをつけるか?などと散々悩み倒した末、なんとかこれでいいんじゃね?的なラインを作ってみた。
また変更の余地があるし、ひょっとすると特許的なのに抵触する可能性がもあるので軽くモザイクをかけて裏側(エンジン側)はこんな感じになる。
これでも苦肉の策である。おそらくリリーフバルブの使い方の問題で、リリーフ能力は残念ながらアルミポンプより劣ると言わざるを得ない。
このためPACオイルポンプを使うのであれば、冷えている時のリリーフ量を減らすためにシングルグレードオイルではなくマルチグレードオイルの使用を推薦することになる。
前回ブログで書いたチェーンオイラー系を取っ払ったのにはこの辺にも理由があったりする。
オイラーあるとリリーフ出来んのよ…。それなら取っ払うっしょ!
と、まぁこんなところだろうか?
ちなみにここまで来るのに2年近くかかっていたりする。ちょっと性能ってかどんなものかをまとめておこう。
以上である。
発売は来春までには、値段とかはまだ決まっていない。
多分無いとは思うが、仮に現在管理人が気がついていない問題が発覚したら更に伸びるか下手すりゃ作れない可能性もある。
おそらくこれだけじゃ一体なにがなんだかわからんって人も多いと思うので、気になった人はガンガン質問してきてほしい。
さてと、またれよ!次報!
終わり!
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