ラチェットトップ、ロータリートップの違い

今更ながら4速ミッション

4速ミッションとは一般的に1936年から86年までハーレーのビックツインに採用されていたミッションの事である。
以前はEVO以降とそれ以前を分けるためにFit's 4sp BT(4速のビックツインにつくよ!すなわちショベルから前のビックツインってこと)的な感じで表現されるほど長く採用されたミッションであった。

この4速ミッション、種類は極端に少ないがそのせいか呼び方とか年式とかが一人歩き状態で、何が何だか…って人が多いらしい。
と、言うわけで久々の管理人の記憶力テストを兼ねてこの4速ミッションについてちょっと細かく書いてみようと思う。

なお、例によってほぼ何も調べないで書くんで正確性については担保できない。でもここに書かく認識で何年もバイク屋やってきたんで、そんなに大きく間違っていないと…思いたい。

4速の分類分け

エンジンであればショベルだパンだとわかるけど、4速ミッションの場合はシフト方法でミッションの種類を分ける事が多い。ってか一般的な方法となる。
これが所謂ラチェットトップであったり、ロータリートップとか言われる所以なんだけど、んじゃその下の肝心のギヤがいっぱい入っている場所にはなんで言及しないなんだ!と思われれる方もいるだろう。
これには理由があって、実はこの4速ミッションよしゃーいいのに1936年から終了する86年の実に50年間ギヤ部分にはほとんど変化が無いのである。

細かい説明は面倒なんで書かないけど、部品の互換性は凄まじく入れる気になれば年式問わずほとんどのギヤが組み合わせは有るもののスワップ可能、主要部品であるメインシャフトはわずか4種類しかなくケースに至っては極端な話2種類(細かく分ければ…4種類ぐらいあるのか?)しか無い有様。50年も使っていてこれである。
これではギヤ部分では全く区別がつかないので、上のシフト部分で分類するようになったのは必然の流れだった。

と、言うわけでここでもそれに習って書いていきたい。では次に行ってみよう!

ジョッキートップ メカニカルトップ

  • こんな写真しか取れなかった…一応メカトップのシフト入力部分。他のやつに比べると小さくて単純そうに見えるでしょ?

どっちが正式な呼び名かわからないけど、アメリカとか英語圏ではJpckey Top、日本の管理人のようなおっさんはメカニカルトップ…って呼んでいるような気がするこのメカニカルトップ、タンク脇にシフターがあった1936年から恐らく1964年まで採用されていた構造である。

これから書く他のミッションは基本的に足でのシフトチェンジのため、シフトレバーが何速に入っていようが一定の位置にいるように作られているが、このメカニカルトップは1速、2速…とギヤを変えるとその位置にレバーが留まるのが最大の特徴だ。

このため構造的には4速ミッションのシフターでも一番単純な構造をしており、見た目も非常に小さい。

レバーの位置が車のように各ギヤに対して固定なため、タンク脇ハンドシフトではそれほど問題はないが、ジョッキーなんかにすると1速と4速では猛烈にレバー位置が変わり乗りづらいことこの上ない。

このためカスタムする場合に会えて採用されるケースは少なく、純正タイプってのかな、そんなバイクに多く残っているのが現状だろう。

ちなみにこのメカニカルトップ、長きに渡り社外品がなく今から約15年ほど前までは純正品が非常に高騰してて探すのも大変だった。
現在は社外品が有るため、もうちょっと手軽にメカニカルトップには乗れるようになった。
ちなみに後述するラチェットトップとは完全に完璧に互換性が有る。

ラチェットトップ

  • みんな見慣れたラチェットトップ。これはFLタイプになるか

  • これも見慣れたラチェットトップに社外品をポンポンと付けたタイプのジョッキーシフト。

恐らく4速ミッションと言えばこの形を想像する人が多いであろうラチェットトップ、その登場は意外と古く、多分だが1953~4年頃フットチェンジを採用したFLFなるモデルがあって、その車両に付けられるために登場したと記憶している。
上記のメカニカルトップとは1953年頃から1964年まで共存し、その役目を1978年まで努めた。

構造は小さくもよくできている方であり、操作も軽く優秀である。
メカニカルトップに取ってつけたようないかにも当時のハーレーがやりそうな手法であったにもかかわらず、その高い完成度故か非常に長い期間に渡り使われ続けた。

フットシフトとしてもいい完成度だが、現在何よりも重宝されるのは、ジョッキーシフトやハンドシフト化が簡単というのが一番の理由だろう。

なんで簡単かっていうと元々フットクラッチが前提のメカニカルトップの改良版なんで、このフットクラッチ化の構造を丸っと移植が可能ってのと、沢山出ている社外品に依る所が大きいと思う。

こんな感じでジョッキーシフトにするには非常に優れた特性があるラチェットトップ。
注意するところがあるとすれば、FL用とFX用では中身の構造差によりシフトパターンが逆になる事だろう。
FLのミッションだとジョッキーシフトは後ろに倒すと1速、そこから上げていくと2,3…と変わっていくが、FXはこれの逆となる。
これを直したいのであれば中身のシフタードラムをFL用に交換することでFLのラチェットトップと同じシフトパターンにできるので覚えておこう。

管理人的にはどっちが通常とか一般的とかは無い、というよりカスタムバイクとっ捕まえて一般的などと言うコト自体がナンセンスなんで、ギヤがどっちに動いてどう変わってもどうでもいい話だと思っている。要は慣れである。
でもFXのミッションのやつを久しぶりに乗ると混乱するのは確かである。

ロータリートップ

  • ロータリートップをキック側から撮影。今までとガラッと変わりシフター機構部が大きくなった

  • 恐らくFXのロータリートップシフター部分。なんじゃこれってリンケージが沢山。

最後にロータリートップ。
登場は1978年から1986年までと4速ミッションの最後を飾った。
このロータリートップの登場によりミッションケースやメインドライブギヤ周りなどが大幅に変更され、ロータリートップは他の2種類のトップと全く互換性がない仕様となった。

また、ラチェットトップより大型化され、レバー周りのリンクも正直無駄だろ?と思うほど複雑化、その見た目だけではなぜこんな事をしたのかメリットが見当たらないものだった。

この仕様変更のメリットは分解しても見つけることができない。

ラチェットトップに比べ複雑化されたリンクを介して入力された力は無理矢理棒で押すような構造により入力に対して90度角度を変え伝えられる。
伝えられた力はガッチガチの機構によりクソでかいロータリー状の部品を回しシフトを変えることになる。

他にも色々な要因があるが、この辺の構造によりロータリートップはシフト変更時にラチェットトップとの比較になるが初期入力の時に大きな力がいるようになった。

また、ハンドシフト化に当たって今まで使えたフットクラッチのための部品がほとんど使えなくなった上に販売している社外のレバーも数種類しかなく、ハンドシフトにしようと思うと必要部品のほぼ全てを作る必要があるため非常に面倒な存在となる。

このようにハンドシフト化をする場合はロータリートップは結構な手間がかかる。
ただし、構造的な妙なのかシフトフィールは結構"今風"のカチッとした感じなので、この辺は好きだったりする。
またフットシフト状態で乗るのであればなんの問題も無い。

他にもラチェットトップと比べると、大きいフロントスプロケットが使えるというメリットがある。
これはラチェットトップがスプロケ側に構造が大きくとびでていて23T以上のスプロケを入れるとあったってしまうためだが、ロータリーはこの出っ張りがないため24とかうまく行けば25Tとかも入る。リヤのスプロケが交換できないドラムブレーキモデルであればこれは結構大きなメリットになるので、ここであえてロータリーを選ぶのも乙な選択といえるだろう。

だがしかしロータリートップで問題が起きるのはジョッキーなどにハンドシフトにする場合である。


4速ミッション、というよりミッションのシフター部分と呼称についてはこんな所かな。
ともかく足シフトか手シフトか、はたまたバイクの仕様ややりたいことによってミッションは豊富な選択肢があるので、訳わからなくなったら聞いてください。
これでおわり!


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