ハーレーにターボを組んだ話と試乗記

2020年2月追記
昔書いた試乗記事が記事先の都合により削除されたんで、こっちにもう一度書き直しました。

ここから記事下まで飛べますのでよろしければどーぞ

ハーレーでのターボ制御②

全開(誤字だ)に引き続きハーレーターボのお話。

前回のブログで言ってた圧力センサーだけど、あれ、本当は2BerMAPセンサーって言うらしい。
自分が取り付けた当時の記録にかいてありました。

低速では加給せず、いくら低圧ターボどいえど確か0.8kps程度の加給をするトラスクターボ
正直9:1程度の圧縮があるTC96エンジンで果たしてそのまま取り付けて大丈夫かって心配があった。

取り付けた当時(確か2009年とかそれぐらいだったかな)の管理人の中の常識ではターボの場合は圧縮下げといて加給に備える ってのが普通だと思っていたんで、9:1の圧縮比で本当にターボが付くかどうか疑問だったんだよね。なんでメーカーの人といろいろ やり取りをしていろいろな工夫の上にノーマルに取り付けられるようにしてあるとの事だった。

んじゃその工夫はってと、

  • タービンサイズ
  • サージタンクサイズと内部加工
  • サンダーマックスによる完璧な燃調と点火タイミング
ってことだったんだけど、詳細を覚えていいないんです…。ただサージタンク(圧縮した空気を貯めておくところって認識でOK)についてはなんか 特許取れるような工夫がしてあるらしい。

まぁそんな工夫により遠慮なくノーマルエンジン付けてくれって事でした。

ちなみに耐久性を証明するかのように本国、アメリカでは相当数の取り付け実績があり、取り付け後10万キロ以上走っている車両もちらほら いるらしい。道路環境の違いこそあれそれぐらい走れればなんの問題もないと思う。

サンダーマックスによるターボ制御

サンダーマックスが如何にターボを制御するか。

まず、サンダーマックスにこの車両にはターボがついてて、2Berセンサーが付いているよってのを認識させる。
その上で専用のマップを選択して本体に記憶させる。

サンダーマックスはこれらの情報を元に以下のような感じでターボってかエンジンの制御を行う。

ターボが加給していないとき

この場合は廃棄効率が悪い(そりゃエキゾーストにあんなタービンがついてたら悪いわな)ノーマルエンジンとして動く。 決められた点火タイミングを繰り返し、オートチューン(これも勘違いされている事が多いけど決して自動的にセッティングを 出す機能じゃない)によって決められた燃料を出す。

ターボが加給している時

加給が開始されている事を2Berセンサーが感知、それと同時にどの程度の加給圧かのデータも受け取る。
その値をもとにオートチューンに基づいて予想される空気量(酸素)に対して適正な燃料を送る。また、タイミングも制御する… らしい。

点火のタイミングもノッキングなどの異常燃焼が起きないように調整。
あくまでもベースマップをもとにして主にタイミングを遅らせる方向に調整をする。

と、ざっくりこんな感じでバカパワーを作ってくれる。
文章中にも出てくるけど、あくまでもベースマップに対しての補正であり、サンダーマックスを付けると簡単にターボのセッティングがでる わけではない。

ただね、この制御技術は本当に驚きで、インジェクションが純正ででたわずか数年でここまでのことができるようになったのは 長年ハーレーをいじってた管理人の一番の驚きだったし、その後もこれ以上の技術発展か転用はちょっと経験がない。

実際の所はどうなの?音かそんなの!

その昔書いた文章があるんでそこで書いたことは ある程度省く。
後、前は立場上抑え気味の表現をしているけど今回はただのバイク乗りとしてとその後の経験も含めてもうちょっと忌憚なく感想を書いてみたい。

※2020.2.13追記※

過去に書いた文章がガッツリ削除されているために肝心な試乗レポートが全く約に立たないものになっていたので大幅に加筆修正、というより書き直した。
てことで下の文章は完全な書き直しです。

注釈終わり!

加給はいつ始まるんだ!

アクセルをガバっと開けると割とすぐ加給する感じ。通常使用だと恐らく1700RPMから2,000RPMぐらいからじんわりと加給が始まる。

実はこの1,700RPMって割と常用回転域で巡航時なんかにも使える回転だと思うんだけど、このじんわり加給のおかげで巡航時にアクセル開度が極端に小さくなるという特典が付く
なんで特典なんだよ!と思う方もいると思うが、高速とかその辺ダラダラ走っているときってアクセル開けてるの疲れるですよ!おっさんは!

このちょっと開けてるだけで走ってくれるって思いの外楽ちんなんですぜ?

興味が湧いたら是非ターボをつけてみよう!

排気音はどんななんだ!

皆様はどうなると思うだろうか?
管理人は超パワーでるんだから超うるさくなるんだろ?などと思っていた(///)が、実際はその逆で超静になる

でもこれも考えてみれば当然で、排気管の途中にタービンが噛む=余計なものを通過するってことで排気音はかなり小さくなる。
このため付属のほぼ直管とも言える一本サイレンサーでも十分静かであり、改造して2本に振り分けたS&SのオーバルサイレンサーでQuiet baffle(オーバル管に準備されていた静かめのバッフルのことだよ)を入れるとあまりにも静か、てかほぼノーマルと同等の音量まで下がるので、いくらなんでも寂しいって事でQuiet baffleを取り外していた。

S&S CYCLE EXH ED.50S.BL/TRCR 17-19 18002460
S&S CYCLE

この傾向は走行後も全く同じで、超静か状態だとそりゃもう盛大に吸入音とタービンの音がもろに聞こえて楽しかったけど、なんだかあまりにも異質な感じがしてやはり排気音が欲しくなった。

てことで、ターボつけると排気音がかなり静かになるので、

ターボ?あんなでけぇ排気音になるのなんてつけたくねーよ!

と、思っていた人もにも安心して(?)勧められます。

興味が湧いたら是非ターボをつけてみよう!

発熱はどうだ!あついのか?

これもサンダーマックスのモニター機能を使ってノーマル時とガッツリ比較した。
結論から書くと発熱はノーマルと同じかむしろちょっと下がる傾向がある

ただし、恐らくだけどガッツリ加給し続けるような乗り方、つまり高速道路とかで110km/h+ααα…とかの超高速域を維持するような公道使用での常識を無視したような乗り方をした場合のはパワーに比例して当然発熱は高まるだろう。

ただしこれはエンジンそのものの発熱の話。

乗ってる人間はどうなんだっていうと熱い…
マフラーの取り回しが悪く、猛烈に右足が熱い。その熱さはショットガンマフラー何ぞの比では無く、油断すると低温やけどするレベルだった。その昔ZZ-R1100で短パンでバイク乗った時に低温やけどしたのを思い出したのは言うもでも無いだろう。

正直これは厳しいので、次回取り付ける事があるなら、エキゾーストのとり回しを考える予定。

燃費はどうなんだ!

普段使いならぶっちゃけノーマルと変わらない程度。リッター17~20Km/Lってところか。

これぐらいだと下手すれば未セッティングのTC96より燃費がいいのかもしれないが、ターボをつけるにあったってセッテング変更バリバリするんで、その影響かもしれない。
でも乗り方によって相当下がるとは予想される。大体においてパワーと燃費はトレードオフだろう。

いよいよ試乗!

てことで肝心な乗り味を。

エンジンの始動方法とかは変わらない。特に気をつけることもない。イグッションをONにして普通にセルボタンを押すだけだ。

エンジンは普通に始動し、規定の温度と回転数(サンダーマックスではヘッド温度で回転数を調整することができるので、暖気の時間や回転数を調整可能)普通に暖気をする。

この時にすでにタービンが回る音がしだす。ヒューーーーって感じの音だ。

アイドリング自体はタービンにオイルを回すためにちょっと高めにセットする。だいたい1000RPM前後。まぁノーマルとほとんど変わらない程度。

適当に暖気運転が済んだらいよいよスタートである。

街乗り

正直ノーマルと変わらないかな。ただタービンがエンジン部分に付くためかなんなのかわからんが、振動が大きくなったと感じると思う。ただし対策が必要なレベルではなく、不快に思うことも無いだろう。

信号ダッシュや割と景気よく加速できる場面ではターボはその片鱗を見え隠れさせだす。

1800RPMあたりから吸気音がなにやら今まで聞いたことが無いようなアグレッシブなジュジュジュジュジュジュって感じの音に変化、ハーレーのそれじゃないようなパワーの片鱗を見せ始める。

適当な所で2速にシフトアップするためクラッチ切ってアクセル戻せばブローオフバルブから派手にバッシュ!!っと空気を吐き出し、また再び加速を開始…って感じだけど、町中ではこのへんで身の危険を感じるはずだ。

でもとにかく目立つんで、そのへんが面白い人には大いに楽しめるだろう。

峠とか

ハーレーのツーリングモデルで峠とか攻めるな!

とか言われるかもしれないが、コーナーリングはバイクのセッティングを煮詰めるには必要不可欠な道路であり、ただ単に楽しむために走るわけではない。
…まぁ楽しいから走るんだけど、よくあるその辺の山道的な所を楽しい速度で走ってみる。

この時はほぼ2速に固定、アクセルとリアブレーキで速度コントロール、たまに激しく突っ込むためにフロントを使う的な標準的ワイディング走行を何度も試してみた。

ものすごく楽しいよ!流石にアクセル全開ってわけには行かないけど、ツーリングモデルの重量も何のその、ターボによるバカパワーで油断するとすっ飛んでいくような猛烈なパワーをグイグイと走らせるのは国産車でも、ノーマルのハーレーでも味わえない未知の感覚といえるかもしれない。

アクセルワークのみでもフロントフォークがガンガン長さ変わるもんで、クルックルと向きが変わる感じ。

その際のなんか怒り狂ったような吸気音とブローオフの音も非常に楽しい。

多分実際はそんなに早く走れていない。
でもそんな事はどうでもいい。低速からいきなりアホトルクが出てくるわけじゃないので、なんとなくコントロールがしやすいのだ。これが楽しさにつながるんだろう。

高速

多分ここがみんな気になるんじゃないだろうか?

高速では車線に乗るためには結構な勢いで加速が必要。当然ここで本領を発揮する。

ブースト計は上限いっぱい、跳ね上がるタコメーター、猛烈な勢いで上昇するスピードメーター、響き渡るブローオフ、猛烈な加速Gともうハーレーのそれではない。ぶっちゃけこんな加速をするような車体剛性が無いもんで、おっかなくてメーターとか見てらんない。

感覚的には国産リッターバイクに近い。一緒にヨーイドン!はしたこと無いけど、個人的体感としては900Ninjaと同等かそれ以上(流石に現行国産車と一緒とは思えない)の加速をする。

速度は当然あっという間に跳ね上がり100km/hに到達するのに多分4~5秒程度、更に倍の速度に達するに1分もかからないだろう。

恐ろしい話である。

当然このパワーの恩恵はふつーに高速走っていても有る。
上にも書いたが、アクセルはほとんど開いていない状態で100km/h程度での巡航、シフトは6速という普通の走り方していたとしよう。

ここから追い抜く場合、ターボハーレーであれば3つの選択肢が有る。

1、ちょっとアクセルひねれば(すでに加給状態なんでまじでほんのちょっと。1mmとか)そこからでも割とガチ目な加速をするんでしれっと追い抜く。

2、5速に落としてまあまあ本気の加速。多分人に言えない速度になる。

3、4速まで落としてフルブーストのフル加速。加速ジャンキーと化したごく一部の人がやると思うけど、おじさんな管理人にはもはやできないと思われる。抜いた車は1分以内にミラーから完全に消えるだろう。

とまぁ、こんな感じで高速道路ではターボの本気を存分に感じる事ができるだろう。


ターボの試乗記としてはこんなもんかなと思う。
今、個人的に欲しいバイクは?と聞かれたら5秒ぐらい悩んだ末にターボハーレー!と答えるだろう。

それぐらいターボのついたハーレーは面白い。興味のある人は金額的にとか色々ハードル高いけど、是非つけてほしい。
アメリカでもどこでも結構売れているんで、いいもんだと思うよ?

てこで終わり!


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