ハーレーの手動進角を考える

今更ながら手動進角である。
きっかけは質問にあった手動進角の操作について。って質問なんだけど、以前にも別の質問内(多分この質問かな?)でも聞かれたことがあったんで、多分気になっている人も結構いるんじゃなかろうか?(そしてこれを書いている間にも電話で手動進角についている謎の部品について質問があった。一体俺に何が起きているんだ…)

てなわけで、今更ながら手動進角の操作などを考えていってみよう。

そもそも手動進角ってなに?

今更だけど、手動進角についてざざっと説明しよう。

ハーレーにおける手動進角はビッグツインで言えば1936年のナックルの登場から1965年のパンヘッド最終まで(もしかしたら1964年だったかもしれない)の長くに使われた点火タイミングを取るためのシステムである。

構造としては左側のグリップをアクセルと同じように回すことにより、エンジンの右前方に取り付けられたポイントマウント(正式名称は多分これでいいと思うが、現在ではデスビという呼び名が一般的なんで、以下デスビと書きます。)を回すことによって点火時期をあくまでも手動で変更することができた。

左側の操作が増えるってのと、当時もどこに合わせていいかわからん!なんてクレームがあったのかもしれないが、アーリーショベルにバトンを渡すと同時期に手動進角は廃止となり、ガバナーを使った自動進角へと以降、以降アイアンスポーツなどの他モデルも順次自動となっていき、1970年には完全に姿を消すこととなる。

で、この手動進角、操作が増える煩雑さ、部品点数も増え、取り付けも面倒で且つ操作ピアノ線との位置関係が結構微妙でセットアップが面倒でその上で性能的なメリット無しと、つける側にとっては非常に面倒な部品である。

過去にはかなり頻繁に外され後期の自動デスビに交換する事が多かったが、純正度が高いバイクなどではやっぱりここも純正でってのが多く、今では自動進角から手動に戻すなんて機会も増えてきたように思える。

手動進角もやっぱり他の部品に漏れず、時代によって結構浮き沈みを繰り返してきた感じだ。

手動進角の乗り方

ってことで、本題に入ろう。

その前にそもそも点火時期ってなんだよ!ってのことで、以前VOESについて書いたのが参考になるかもしれないので、リンクを貼っておく。

手動進角のタイミング調整は

始動時やアイドリングなんかでは一番遅く、走るときは全開!

これが基本であり、全てである。
身も蓋もないが、これは正しいと思う。

いつからこう言われているかわからないが、おそらく手動進角が全盛期ってか主流だったころから言われている事なのだろう。

この乗り方だと点火時期は全閉と全開時での2点となり、後に使われた自動進角の点火時期のとり方と全く一緒とすることができる。
と、いうより自動進角に使われているガバナがそもそも手動進角のマネをするためにこんな構造になったのだろう。

え?自動進角の点火時期って2点しかないの?

と、思った人も多いだろう。
そんなので自動と言って良いのかと。
ハーレーのガバナを使った自動進角装置は、ウエイトが遠心力で開くことにより点火のタイミングを早める事ができるが、このウエイト決してじわじわ広がっていくわけじゃく、ガバっと開き、ガバっと閉じるため点火のタイミングは2点しか無い。

しかも動く角度も大したことなく、現代の点火タイミングの理論ってか考え方から照らし合わせると実に??????な物だ。

余談ではあるが、巷で人気のダイナSもこのガバナを利用して点火時期を謀っている。
管理人がダイナSを好きになれないのは正にココで、高回転で火花が強かろうがなんだろうが点火時期が2点しかないんじゃ対して性能を望めないくせにお値段が高め、しかも割とぶっ壊れるしそれも唐突に終わる傾向があるとどこがいいのかわからん。
これをつけるなら別のモジュールかポイントをつける。

ココまで自動進角の事を書いてきた。上記を踏まえて今一度手動進角の操作方法を考えていってみよう。

手動進角の点火時期

本題である。
手動進角と自動進角では違いはいくつかあるが、その中でも注目は全開から全閉まで割と自由に動かせるってとこだろう。
ガバナであれば、勝手に2点でしかタイミングを取ってくれないが、手動であればもっと細かく点火時期を取れるし、とって見る価値がある。

いやー、めんどくせーし全開と全閉でいいや!

って人はそのままでも全く問題ない。だがしかし、その乗り方は恐らく1936年頃に開発された全くのノーマルハーレーに対する乗り方であり、現代では環境も違う。

んじゃ当時とどう環境が違うのか?

道路環境からして違う(多分)

あくまでも多分。でも舗装であったり渋滞であったりと今のほうが良くなってる部分もあるし悪くなっているのもあるはずだ。

今現在走っているパンだのナックルだのはほぼ確実にノーマルではない

中には全く手を入れていないドノーマルなんてもはや博物館クラスの物もあるだろうが、現代走っている古いハーレーは大なり小なり絶対にどこかいじってある。

それはエンジンの中であったり、キャブやマフラー、2時減速比だとか車体の重量の変更とか色々どこか変わっているはずだ。

特にエンジン内部、シートリングあたりの材質変化は素晴らしく、きちっと組まれたエンジンであれば当時より圧縮が上がっている事が多い。

変わっていないようでもこの辺は確実に変化をしているはずだ。

てか、そもそも燃やすガソリンが違う

有鉛、無鉛はさておいてまさか当時と現代でガソリンの質やオクタン価が一緒ってことはあるまい。
現代のガソリンのほうがイケてるに決まって…るよね?

と、技術や環境の要因としてはだいたいこんなところだろう。

あとは手動進角の仕組み上、当時の設計以上に進角させることがか可能だし、そもそも全閉時のタイミングだって環境変化に合わせて適切にセットしてある可能性もある。

つまり、ざざっと書くと。。。

環境もバイクも乗り手も部品も点火時期のタイミングもデスビの動きもすべて変わっているのに、なんで何十年も前、へたすりゃ80年以上も前に考えられた乗り方を続けなきゃなんらんのだ!

ってことです。
とくに組み方次第では点火時期全開だと加速時にタイミングが早すぎる(ノッキングするよ)事があり、それであれば過負荷のときは戻して見たり、巡航時に全開にしてみたりと色々したほうが多分具合がいいだろう。

終わりに

てことで、現代にしっかり組んである手動進角は乗ってるときに敢えて操作が必要なように組めるし、組んだほうが都合がいいと思っています。

せっかく自分で操作して点火時期を変えられる=現在のインジェクションコントローラーみたいなもん(いや、全く違うけどさ)なんでガンガン回してガンガン乗ってみましょう!

てことで終わり!


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